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 ここまでの連載において、先進事例をひもときながら、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)×エネルギー、BIM×モビリティー、BIM×都市などといった、建設効率化に閉じないBIMの姿を紹介してきた。また、その活用に向けた押さえどころについて提起してきた。連載の最終回となる今回は、昨今の社会変化を踏まえて、改めて今後の社会におけるBIMへの期待と提言を述べたい。

社会のデジタル&グリーン化に向けた分野融合

 中国湖北省武漢市に端を発する新型コロナウイルス感染症は2020年の社会・経済に深刻な影響を及ぼした。一方で、いわゆるウィズコロナ/アフターコロナと表現されるように、新型コロナは社会にとっての変革のきっかけでもある。

 世界的な危機を目の前にして、いわゆる行政改革に代表されるように、これまで変化を阻み続けてきた規制の見直しが進みつつある。また、環境問題や企業の社会的責任を重視するESG投資に対して世界的な注目が高まるなど、より良い社会の創出を目指した活動も加速しつつある。つまり、今日の社会は大きな変化が加速する真っただ中にある。その方向は「デジタル&グリーン」だ〔図1〕。

〔図1〕新型コロナがもたらす社会変化
〔図1〕新型コロナがもたらす社会変化
(資料:アーサー・ディ・リトル・ジャパン)
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 デジタルの文脈では、行政手続きの効率化に向けた非接触化、オンライン化、データ活用など、あらゆる場面で社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいる。デジタル化は単なる効率化に収まらない。その本質は場面をまたいだ融合性であり、今後あらゆる場面が分野の壁を越えて互いにつながっていくようになるはずだ。

 もう1つの変化はグリーン化のさらなる進展であり、すでに欧州をはじめとして経済復興と脱炭素の推進に向けたグリーンリカバリー政策が強力に動き出している。これまでも個別分野ごとのエネルギー使用合理化が図られてきたが、エネルギー使用合理化のためには分野をまたいだ全体最適化が重要となる。そこで、電力、熱、輸送といったエネルギーの利用形態を超えたつながりが必要になるだろう。

 つまり、デジタル化によってあらゆる分野の連携が容易になるし、また、グリーン化に向けて分野横断での最適化が重要となる。新型コロナ後のデジタル&グリーンな社会に向けて、分野をまたいだ融合がますます重要になっていくと認識しておくべきだろう。