建設業、不動産業、製造業などではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用が検討され、実務への適用も始まっているが、建築における干渉チェックなど効果の小さい取り組みにとどまっているのが現状である。この理由の1つに建設のバリューチェーン全体での検討が実用化されていないことが挙げられる。建設のバリューチェーンは、不動産会社による企画、設計会社による設計、ゼネコンによる施工、製造業による設備供給、ビル管理会社による運用・管理のように別々の企業でバリューチェーンが構成されている。

 例えば、ゼネコンの立場からすると現状のビジネスモデルにおいては前工程や後工程での効果は自社のメリットにはならず、施工における効果だけがメリットになるため、BIM活用の投資に対して見合う効果が得られないことが多い。そして、その経験を通じてBIM活用は意味がないと結論付けている関係者も少なくない。

 しかし、現在のビジネスモデルを前提としていては、イノベーションを起こすことは難しい。個社を超えたビジネスプロセス横断での最適化やビジネスモデルの革新まで考えなければならない。本連載では、このような視点でBIM活用によって、どのようなイノベーションが考えられるのか(What)、イノベーションをどのように進めていくのか(How)について提言する。

三ツ谷 翔太(みつや・しょうた)
アーサー・ディ・リトル・ジャパン パートナー
三ツ谷 翔太(みつや・しょうた) 京都大学大学院工学研究科を修了後、アーサー・ディ・リトル・ジャパンに参画。Technology & Innovation Practiceをリードし、製造業やインフラ産業の企業に対するイノベーション戦略の策定や、官公庁に対する産業政策・科学技術政策の策定などを担当。近年は、モビリティーやエネルギー、スマートシティなどを始めとする新たな社会システムの創出やそのためのエコシステムの形成に向けて、産業横断・官民連携のプロジェクトに注力している。
長冨 功(ながとみ・いさお)
アーサー・ディ・リトル・ジャパン プリンシパル
長冨 功(ながとみ・いさお) 東京大学工学部を卒業後、日系SIer、製造業特化ファーム、財務アドバイザリーファーム、大手移動体通信企業を経て、アーサー・ディ・リトル・ジャパンに参画。東京オフィスのTechnology and Innovation Management プラクティスのコアメンバー。主な担当領域は、ICT・エレクトロニクス業界の企業に対するR&D戦略、新規事業、M&A(プレ・ポスト)、ターンアラウンドの支援。事業会社・コンサルティングファーム双方の立場から変革プロジェクトを多数実行。
濵田 悠(はまだ・ゆう)
アーサー・ディ・リトル・ジャパン プリンシパル
濵田 悠(はまだ・ゆう) 京都大学工学部を卒業後、総合系コンサルティングファームを経てアーサー・ディ・リトル・ジャパンに参画。自動車・製造業を中心とした事業戦略策定プロジェクトを経験し、近年は特にモビリティーを起点とした新規事業の構想・実行支援を数多く手掛ける。あわせて、経済産業省への在籍経験も活かし、官公庁に対する産業政策支援や官民連携の取り組みにも注力している。
北朴木 祥吾(きたほうのき・しょうご)
アーサー・ディ・リトル・ジャパン マネージャー
北朴木 祥吾(きたほうのき・しょうご) 東京大学大学院工学系研究科を修了後、大手鉄道会社を経て、アーサー・ディ・リトル・ジャパンに参画。東京オフィスのTravel & Transportationプラクティスのコアメンバーとして、交通・運輸・ICT業界の企業に対する新規事業戦略の策定支援や、官公庁に対する産業政策の策定支援などを担当。特にモビリティ分野に関するプロジェクトを多数実行。
鈴木 香菜(すずき・かな)
アーサー・ディ・リトル・ジャパン マネージャー
鈴木 香菜(すずき・かな) 東京大学工学系研究科を修了後、国内シンクタンクを経て、アーサー・ディ・リトル・ジャパンに参画。日本のEnergy &Utility Practiceをリードし、新エネルギーシステムを踏まえた新規事業立案、ポートフォリオ変革、官公庁に対する産業政策・海外展開支援などを担当。近年は、ゼロカーボンやサスティナビリティを経営競争力に活かすための、事業構想・実行支援などに注力している。
新井本 昌宏(にいもと・まさひろ)
アーサー・ディ・リトル・ジャパン マネージャー
新井本 昌宏(にいもと・まさひろ) 東京理科大学大学院工学研究科修了後、メーカーにて生産技術、研究開発に従事。その後、複数のコンサルティングファームを経て現職。建設業や製造業における新規事業開発、技術戦略策定、BIMを含む業務改革や情報基盤構築等のコンサルティングを数多く経験。経営から現場までの一貫性と、事業と技術の整合性を重視し、短期的な成果の獲得と、中長期的に成果を獲得し続ける組織能力向上を同時に支援する。