全1291文字
PR

 経済産業省と東京証券取引所が2020年8月に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2020」。「日本の先進DX」といえる受賞企業の事例を厳選して取り上げ、DX推進の勘所を探る。東日本旅客鉄道(JR東日本)は様々なモビリティーサービスを巻き込みMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)の実現に向けて突き進んでいる。

 「新型コロナウイルスの流行により移動することの価値が問われる時代になった。これからは鉄道会社の枠を超えて、顧客の利便性を追求していく必要がある」――。JR東日本の伊藤健一MaaS・Suica推進本部MaaS事業部門課長は、全社を挙げて取り組む同社のMaaS事業についてこう語る。

JR東日本は鉄道会社の枠を超えてMaaS戦略を推進する
JR東日本は鉄道会社の枠を超えてMaaS戦略を推進する
(出所:JR東日本)
[画像のクリックで拡大表示]
JR東日本の伊藤健一MaaS・Suica推進本部MaaS事業部門課長
JR東日本の伊藤健一MaaS・Suica推進本部MaaS事業部門課長
(出所:JR東日本)
[画像のクリックで拡大表示]

 JR東日本が2018年に発表したグループ経営ビジョン「変革2027」のテーマは、「鉄道を起点としたサービス提供」から「ヒトを起点とした価値・サービスの創造」への転換だ。「これまでは鉄道での移動をいかに快適にするかに力を注いできたが、今後は鉄道以外のモビリティーサービスを含めて顧客の利便性を高めていく」(伊藤課長)。

 同社がMaaS戦略に力を注ぐ背景には将来への危機感がある。日本最大の鉄道会社として社会インフラとなっている同社だが、将来も安泰とは言い切れない。人口減少やテレワークの普及、車の自動運転の実用化などが今後予想されるなかで、鉄道による移動ニーズが大きく減る可能性もある。

 JR東日本はMaaS事業に本腰を入れるため2020年6月に専任組織「MaaS・Suica推進本部」を設置した。「当社の強みであるSuicaとMaaS戦略を組み合わせて事業を推進する狙いがある」(伊藤課長)。