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 経済産業省と東京証券取引所が2020年8月に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2020」。「日本の先進DX」といえる受賞企業の事例を厳選して取り上げ、DX推進の勘所を探る。JFEホールディングスはAI(人工知能)やビッグデータ解析などのデジタル技術を駆使し生産性や競争力を高めている。主要3社であるJFEスチール、JFEエンジニアリング、JFE商事の取り組みを紹介する。

JFEホールディングス主要3社の取り組み
グループ会社取り組み
JFEスチール高炉の仮想モデル「デジタルツイン」を開発。億単位の損害を出すこともある重大トラブルを大幅に削減
JFEエンジニアリングAIを使ったごみ焼却炉の自動運転システムを開発。発電効率を4%高め、有害な一酸化炭素の排出量を約50%削減
JFE商事RPAで年3万9200時間分のパソコン作業を自動化、2020年度内に4万時間を超える見込み

AIによってごみ焼却炉の運転を自動化

 JFEエンジニアリングはAIを使ったごみ焼却炉の自動運転システムを開発した。2019年4月に実運用を始め、発電効率を向上させたほか、有毒ガスの排出量も減らした。同社は環境プラントや上水・水処理プラントなどの建設やメンテナンス、オペレーションなどを手掛ける。

 ごみ焼却炉では燃焼を安定させるために、燃やすごみの量や炉に送る空気の量を調整する。同社はそれまで、運転員が常に燃焼状態を監視し、1日当たり数回~数十回ほど手動で調整していた。調整には様々なノウハウが必要で、「ベテラン作業員の技量や経験に依存していた」(JFEエンジニアリングの粕谷英雄技術本部ICTセンター長)。

ごみ焼却炉の運転室の様子。運転員が常に燃焼状態を監視する必要があった
ごみ焼却炉の運転室の様子。運転員が常に燃焼状態を監視する必要があった
出所:JFEエンジニアリング
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 自動運転システムによってこれらの調整を自動化した。AIがごみ焼却炉内の撮影画像を即時解析し、燃焼状態の安定/不安定を判定する。その判定結果と温度や排ガス濃度など焼却炉の運転データなどを基に、ベテラン運転員並みの操作を行う仕組みだ。

 同社は2016年にシステムの開発を開始し、2019年4月には自社運営の焼却炉で実運用を始めた。常に最適な燃焼状態を保てるようになり、ごみ1トン当たりの発電量は4パーセント増加し、有害な一酸化炭素の排出量は約50パーセント減少したという。既に4つのごみ処理施設に導入済みで、2020年度中にはさらに4施設へ追加導入する予定だ。