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熱帯でも強い
事例7 超耐熱

企業・団体名:産業技術総合研究所、サンアロー
原材料:ポリエーテルエーテルケトン、カーボンナノチューブ

 自動車の軽量化を図る上で、金属製部品のプラスチックへの置き換えは有力な手段。よく使われるのが比強度の高い炭素繊維強化プラスチック(CFRP)だ。

 ところが一般的にCFRPは耐熱性があまり高くないため、高温にさらされる部品はなかなか金属から置き換えられない。耐熱性の高いポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのスーパーエンジニアリングプラスチックを母材として利用しても、である。高温環境下を含めて引っ張り強さは高いものの耐衝撃性を確保できず、小さな衝撃で折れてしまうからだ。

 この点を解決したのが、産業技術総合研究所とサンアロー(東京・中央)が2020年1月に発表した新材料だ。PEEKをカーボンナノチューブ(CNT)で補強する独自技術で耐衝撃性を改善した(図1)。電気自動車用モーターのケーシングといった用途への応用を見込んでいる。

図1 PEEKとカーボンナノチューブの複合材料
図1 PEEKとカーボンナノチューブの複合材料
押し出し丸棒にした例。(出所:産業技術総合研究所、サンアロー)
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