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 コロナ禍を機に多くの企業で米Slack Technologies(スラック・テクノロジーズ)の「Slack」や米Microsoft(マイクロソフト)の「Microsoft Teams」といったビジネスチャットの利用が進んだ。その結果、メールとビジネスチャットを併用することになり、両者の使い分けで混乱が起きている。ビジネスチャットが急速に普及した今こそ、組織ごとにルールを定めて主たるコミュニケーションツールをメールからビジネスチャットに移行すべきだ。そうすることで業務効率を大幅に向上させた現場が少なくない。先行事例を基に、ビジネスチャットへの切り替える方法を紹介する。

 富士通でサービステクノロジー本部事業推進部に所属する関塚甲介氏は部内でオープンソースソフトウエア(OSS)のビジネスチャットツール「Mattermost」の利用促進に2017年ごろから取り組んでいる。関塚氏は「ビジネスチャットの利用を促すには、実際に使わせてコミュニケーション効率の良さを体感させる必要がある」と話す。

 そこで関塚氏らは2つの特徴的な部内ルールを策定した。「全ての投稿メッセージをオープンにする」「原則として即時返信しなくてもよい」である。

 前者のルールは、ビジネスチャットが業務に有用なことを示す狙いがある。「ビジネスチャットは雑談の道具で業務に役立たない」。かつてはこんなネガティブな印象を持つ人もいたという。

 Mattermostは登録ユーザーなら誰でも閲覧できる「パブリックチャンネル」とチャンネルの管理者が許可したユーザーのみが閲覧できる「プライベートチャンネル」がある。プライベートチャンネルで業務上の重要なメッセージをやり取りしても、当事者しか閲覧できないので、ネガティブな印象をなかなか払拭できない。

 そこで関塚氏らは、プライベートチャンネルを禁止しパブリックチャンネルにするルールを設けた。実際に400以上あるチャンネルでのやり取りは部内の誰もが閲覧できるという。このルールによって「ビジネスチャットが実際に業務のコミュニケーションツールとして機能していることが伝わりネガティブな印象を払拭できた」(同)。