「5つのハードルをクリアしないと医療業界へのデジタルツールの導入は難しい」――。デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーは、医師や患者にデジタルツールの活用状況についてWebアンケートを実施した。その結果から明らかになった医療業界の現状を、同社のヴァイスプレジデントである大重隆氏がオンラインワークショップ「医療はDXでどう変わるか?」(日経クロステックと日経メディカルが開催)で報告した。
アンケートの対象は病院に勤める医師115人と診療所に勤める医師114人、患者5000人。コロナ禍を契機に活用が広がった電話再診やオンライン診療といったデジタルツールの活用状況や、患者の通院頻度の変化などについて2020年6月に調査した。
回答した医師の約半数が、医療関係者の業務を効率化するツールや、患者への情報発信の場となるWeb機能をもったツールが不足していると感じていることが明らかになった。さらにこれらのツールに対して、診療所に比べて病院の医師のほうが「不足している」と感じている割合が多かったという。大重氏は「診療所と病院を比較すると、病院サイドでデジタルニーズがあるのではないか」と述べた。
デジタルツールの実際の導入状況についても調査した。コロナ禍を契機に病院と診療所のいずれにおいても電話再診とオンライン診療の導入が進んだが、電話再診の導入がより進んでいるという。加えて大重氏が注目したのがWeb会議システムである。「コロナ後にオンライン診療と比べてWeb会議システムのほうが高い割合で導入されていることから、医師の働き方も変わってきていることが読み取れる」と変化を指摘した。