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有線の主流はギガビット、マルチギガビットはまだ様子見

 有線LANは、歴史あるインターフェースの1つである。ケーブルのコネクターはロック用のフックを装備しており、PC側のポートに「カチッ」と音がするまで挿せば簡単には抜けないようになっている。

ノートPC側のLANポート。ここにLANケーブルのコネクターを「カチッ」と音がするまで挿し込む
ノートPC側のLANポート。ここにLANケーブルのコネクターを「カチッ」と音がするまで挿し込む
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 有線LANポートが一般ユーザー向けのPCに搭載されるようになったのは、インターネット接続の方法が電話回線を通じたナローバンドから、ADSLや光回線を利用したブロードバンドに移行し始めた頃だ。インターネット接続で利用するポートが変わったことが大きく影響している。

 ナローバンドの頃には、シリアルポートに接続したモデムと電話回線を利用してインターネットに接続していた。しかしブロードバンドでは、通信事業者からレンタルしたブロードバンドルーターを介してインターネットに接続するようになった。そしてブロードバンドルーターとPCの接続には、基本的には有線と無線を含むLANを利用する。

無線LANルーターの多くは、背面に有線LANポートを備えている
無線LANルーターの多くは、背面に有線LANポートを備えている
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 こうした普及期に利用されていたのがファストイーサネットだ。その後、やり取りされるファイルの容量が増えるにともなって1Gビット/秒の転送速度をサポートするギガビットイーサネットが登場した。現行のノートPCは、ほとんどがギガビットイーサネット対応の有線LANポートを搭載する。

 一部のデスクトップPCは、ギガビットイーサネットよりもさらに高速なマルチギガビットイーサネットに対応している。マルチギガビットイーサネットは、2.5Gビット/秒をサポートする規格が普及し始めており、さらに高速な5Gビット/秒をサポートする規格も策定済みだ。

 ギガビットイーサネットを使ったネット越しのファイルのやり取りでは、SSDなどの高速なデバイスの読み書き性能を生かせない。デバイスの読み書き速度が上回るからである。マルチギガビットイーサネットを使えば、より速くファイルをやり取り可能になる。

 そしてマルチギガビットイーサネットよりさらに高速な10Gビット/秒のイーサネット(10ギガビットイーサネット)の普及も始まっている。一部の通信事業者は、10Gビット/秒に対応する光回線の提供を開始しており、この速度に対応する無線LANルーターも、幾つか登場してきている。

 ただし、マルチギガビットイーサネットや10ギガビットイーサネットは、導入のハードルがまだ高い。性能をフルに発揮するには、経路上の機器をすべてマルチギガビットイーサネットあるいは10ギガビットイーサネット対応のものに置き換える必要があるからだ。企業向けの機器では一部対応するものも出てきたが、これらの規格に対応するブロードバンドルーターやハブ、PC用のLANアダプターはギガビットイーサネット対応製品と比べるとかなり高価だ。

 またノートPCでマルチギガビットイーサネット以上の規格に対応する有線LANポートを搭載するモデルはほとんど存在しないため、選択肢が少ない。そのため有線LANポートを積極的に利用する環境でも、現状ではギガビットイーサネットに対応していることを確認すれば十分だろう。

竹内 亮介(たけうち りょうすけ)
毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てテクニカルライターとして独立。PC、モバイル、家電などのIT機器の評価記事や解説記事を新聞、専門誌やオンラインメディアに執筆している。