NTTドコモが不正利用の発覚を受け、電子決済サービス「ドコモ口座」で全35行の新規口座登録の停止に追い込まれた。ドコモはSMS(ショート・メッセージ・サービス)を使った2段階認証の導入などセキュリティー対策の強化を打ち出したが、再開時期は見通せない。2019年にりそな銀行で同様の被害があったにもかかわらず、当時の経験を生かせなかった。
ドコモは2020年9月9日夜、全35行を対象に、ドコモ口座の新規口座登録を当面停止すると発表した。この時点で既にゆうちょ銀行やイオン銀行などが新規口座登録を取りやめており、対象銀行が一気に拡大した格好だ。
「全額補償に向けて真摯に対応」
ドコモによると、9月9日時点で被害件数は37件、被害金額は約1200万円に達する。被害者への補償については「全額補償に向けて、銀行と連携し、真摯に対応する」(ドコモ広報部)としている。
再発防止に向けて、セキュリティー対策の強化も打ち出した。まずオンライン上で完結する本人確認の仕組みである「eKYC(electronic Know Your Customer)」の導入だ。具体的には、利用者にd払いアプリで顔写真と運転免許証など写真付きの本人確認書類を送ってもらい、なりすましを防ぐ。
さらにSMSを使った2段階認証も導入する。ドコモは一連のセキュリティー対策を講じたうえで、新規口座登録の再開時期を検討する考えだ。