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 屋外で視覚障がい者を先導して盲導犬のように移動を支援する、スーツケース型ロボット。そんな一風変わった仕組みを開発する動きがある。2020年2月6日、日本IBMなど5社が「AIスーツケース」を共同開発するコンソーシアムを設立した。

 利用者を先導するのだから、当然、周囲をセンシングしつつ、利用者に動きを伝えながら障害物を避けて進むルートを見つけ出す仕組みを持つ。さらに利用者の意思を読み取って、人工知能(AI)で次の行動を提案する機能も実装するという。これまでなかった仕組み、価値をデジタル技術を駆使して実現するという点では、まさしくデジタルトランスフォーメーション(DX)といっていいだろう。

 AIスーツケースは、視覚障がい者だけに向けたものとは限らない。道案内や次の行動の提案は、誰が使っても便利なものである。誰も置き去りにしない、すべての人が、それぞれ幸せを感じながら、1つの社会でともに暮らせる「インクルーシブ」な仕組みの1つだ。未来の社会に向け、人を支援する、人を幸せにするためのDXはほかにもまだまだ考えられる。真新しい考え方ではないものの、デジタル技術が浸透していく「アフターデジタル」な社会のニューノーマルと言っていいだろう。

 そんな未来を切り開くためのヒントとすべく、日経クロステック EXPO 2020では、AIスーツケースの発起人であり開発の技術統括を務める、IBMフェローの浅川智恵子氏に「科学技術と共に実現するインクルーシブな未来社会」と題してご講演いただく。日本科学未来館 次期館長への就任が決まっている同氏の、“未来づくり”に向けたメッセージをぜひ聞いていただきたい。

 

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