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 クラウド活用に取り組む企業はもはや珍しくないが、いまだに「聖域」となっているのが基幹系システムだ。システム障害を起こさないことや万が一起きても素早く復旧させることが、他のシステムにも増して高いレベルで求められる。

 しかも基幹系システムのクラウド移行は失敗できないプロジェクトの一つと位置づけられるのに、特有の難しさがある。オンプレミス(自社所有)環境でのシステム更新と違って、クラウド移行ではデータ転送が必要になる。基幹系はデータが膨大だ。それを速やかにトラブルなくクラウドに移すのは一筋縄ではいかない。

 そうした難しさはあるが、基幹系システムをクラウドに移せば、そこで生成・管理する膨大なデータの活用が容易になる。クラウドサービスの多くは必要に応じてコンピューターリソースを増減できるので、ビッグデータでも短時間で処理できる。クラウドに構築した基盤のアーキテクチャーや運用プロセスの設計によっては、システムの信頼性を高めたりコストを削減したりすることも可能だ。

 日清食品ホールディングスは2019年、欧州SAP製のERP(統合基幹業務システム)を米マイクロソフト(Microsoft)のクラウドサービス「Microsoft Azure」に移行し運用してきた。日経クロステックEXPO 2020では、日清食品ホールディングスの西村太輔情報企画部係長が同社のERPのクラウド移行について、抱えていた問題と移行で解決できたこと、得られたメリットなどを解説する。同社が経験したクラウド移行プロジェクトの難所やその突破法は、既存システムのクラウド移行を検討している企業にとって参考になるはずだ。

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