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 製造業では、これまでも「スマートファクトリー」「インダストリー4.0」といったキーワードとともにデジタル技術の活用を進めてきた。「デジタルトランスフォーメンション(DX)」は、それら従来の取り組みを強化・拡張するだけでなく、事業や働き方に変革をもたらしつつある。しかも、新型コロナウイルス感染症拡大が製造業のDXに拍車をかけている。

AGCの横浜テクニカルセンター新研究棟のVR
AGCの横浜テクニカルセンター新研究棟のVR
一面に大型のガラスがはめ込まれている。VRを使ってどう見えるかを確認しながらガラスの仕様を検討する。(出所:AGC)
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 そんなデジタル技術活用の最先端企業の1つがAGCだ。同社は1990年代からデジタル生産やCAD/CAM/CAEを積極的に展開。2015年に製造分野および研究開発の分野のIT化としてそれぞれ「スマートファクトリー」「スマートR&D」を掲げてデジタル化を推進してきた。さらに2017年には、経営企画部門に「スマートAGC推進部」を設置し、トップダウンでの全社デジタル化推進体制を整え、既に製品開発、製造など多方面で成果を上げている。

 日経クロステック EXPO 2020では、同社常務執行役員・技術本部長の倉田英之氏が「ビジネスプロセスの変革を目指す!DXを活用したAGCの挑戦」と題し、2020年10月16日(金)の17:35 から講演。製品開発、製造などにおける同社の先進的なDXの取り組みの数々を紹介する。

 例えば、製品開発分野では、仮想現実(VR)を駆使したプロトタイピングを実践している。ガラスは遮熱や断熱といった機能も求められ、それによって色味が変わる。ガラスをはめ込んだ建物全体をVRで再現し、デザイナーが必要とする素材をバーチャルで検討しながら仕様を確定している。それにより、開発スピードが早まったという。

 素材開発では、試行錯誤の実験の繰り返しから、人工知能(AI)やシミュレーションなどを組み合わせたMaterials Informatics(MI)を活用。従来の試行錯誤の組成開発から脱却し、競争力を開発スピードの向上を目指している。既に、フッ素樹脂やスマートフォン用ガラスで実績を上げているという。

 製造現場では、技能伝承にAIを活用する。工場の操業に関して熟練者が持っている勘・コツやノウハウといった暗黙知を形式知化するとともに、操業データと併せてAIに学習させた「匠KIBIT」というシステムを構築した。技術者が質問を入力すると、匠KIBITが最適な解を提示してくれるもので、若手技術者の育成に活用している。

 また、新型コロナに対応して設備の立ち上げ検査や保全のリモート化にも挑戦している。海外拠点におけるガラス窯の定期修繕後立ち上げ時、従来は日本から出張して対応していたが、映像の共有によるリモート立ち会いに変更した。工場やエンジニアリング子会社、本社など多数の技術者が参加でき、多面的な見方で検査できるようになった。保全の際も、特殊な耐熱カメラを使って自宅にいる技術者がリモートで工場の作業者に指示を出せるようにしている。

AGC常務執行役員・技術本部長倉田英之氏
ビジネスプロセスの変革を目指す!DXを活用したAGCの挑戦

2020/10/16 (金) 17:35 ~ 18:05
AGC 常務執行役員・技術本部長  倉田英之氏
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