FinTechの到来以降、法人融資の在り方が変わろうとしている。従来は、決算書や事業計画書の提出が不可欠だった。企業の与信を測るための判断材料が限られていたとも言える。ところがテクノロジーを駆使することで、様々なデータを与信に生かそうとする試みが盛んになってきている。
三井住友銀行、三井住友ファイナンス&リース、三井住友カードのSMBCグループ3社とコマツ、官民ファンドのINCJの5社が2019年7月に設立したランドデータバンク(LDB)は、象徴的な存在と言える。事業者の財務データに加えて、工事現場のデータを利用するのが特徴だ。
第1弾サービスとして2020年9月に提供を開始した「工事資材 立替・決済サービス」は、資材購入に係る代金をランドデータバンクが立て替えるというもの。工事完了後、LDBが立て替えた代金分を事業者の口座から引き落とす。
工事現場の傾向を与信に生かす
立替・決済サービスの与信アルゴリズムは、建設業界に特化した財務データと非財務データを基に作成したモデルを利用している。次のフェーズとして、現場監督者に「どの資材がいつ届いたか」「検収をしたか」などの情報をスマートフォンアプリから入力してもらい、収集した情報を分析して与信管理に生かすことも計画中だ。コマツが主導するIoT(インターネット・オブ・シングズ)プラットフォーム「ランドログ」のデータを併用することも視野に入れる。ランドデータバンクの徳永順二代表取締役社長CEO(最高経営責任者)は、「将来的に数万社、数十万社と取引したいと考えている。与信の質を保つために、ビッグデータ分析・活用が大切になる」と語る。
日経クロステック EXPO 2020にはランドデータバンクの徳永社長が登壇し、データと金融を掛け合わせることによる建設業界の変革について講演する予定だ。
公開当初、BOOSTRYの徳永社長としていましたが、正しくはランドデータバンクの徳永社長でした。おわびして訂正します。本文は修正済みです。[2020/10/06 14:30]