日経クロステック EXPO 2020の開催5日目となる2020年10月16日、「無観客テックの未来 ~新型コロナが促すスポーツビジネスの大変革~」と題したパネルディスカッションが行われた。北海道日本ハムファイターズが2023年春開業を目指して建設計画を進める新球場構想などに携わる同社取締役 ファイターズ&スポーツ エンターテイメント 取締役事業統括本部長の前沢賢氏、Bリーグの立ち上げに初代事務局長として参画し成功の立役者の1人であるZERO-ONE 代表取締役の葦原一正氏、国内のスタジアムとして評価が高い広島市民球場(Mazda Zoom-Zoom スタジアム広島)などの設計に携わった追手門学院大学 社会学部社会学科 スポーツ文化学専攻 准教授 スポーツファシリティ研究所 代表取締役の上林功氏の3名がパネリストとして登壇した。
最初にモデレーターを務めた日経BP 日経クロステック編集委員の内田泰が、「新型コロナウイルス感染症は成長産業として期待が大きいスポーツビジネスの根幹を大きく揺さぶる一方で、いかにテクノロジーの導入などによってこのピンチをチャンスに変えられるかが現場の大きな課題になっている」と問題提起した。
新型コロナがスポーツビジネスに与えた影響について、ファイターズの前沢氏は「人数制限に加えて年間シートの返金という収益面での大打撃があった一方で、改めてチームの価値や選手のありがたみ、リアルの重要さを再認識した。今後は新球場を核に観戦環境を革新していくべきだということが確信に変わった」と話した。
ZERO-ONEの葦原氏は「スポーツの価値はアフターコロナにますます高まる。動員重視のビジネスモデルや、ソフトとハードの一体経営などは今後も変わらないと思うが、新型コロナのような新たなリスクが生まれるのに対し、各チームや競技団体がどうリスクマネジメントしていくべきかという議論がこれから大事になる」と語った。
追手門学院大学の上林氏はシルバーウイークなどで、キャンプ場などオープンなスペースの娯楽が多くの人を集めたことにヒントがあると指摘した。「三密を避けるべく、スタジアムをもっと広く使うといい。ヒントとなるのが周辺の街などを巻き込みながら公共オープンスペースを利用するというものだ。あるべきスタジアムの姿を見せた上で、そこで活用するテクノロジーを考えていくという話になると思う」(上林氏)