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 1973年に稼働して以来、半世紀近くにわたり日本国内の為替取引を支えてきた「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」が岐路に立っている。有識者会議や公正取引委員会の指摘を受け、運営元の全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は関係者を集めたタスクフォースを設置。“巨大システム”の改革に向け、議論を進めている真っ最中だ。

 「決済インフラとして守らないといけない部分は当然ある。それでも工夫の余地はあるはずだ」。全銀システム見直しの議論に携わる関係者は、銀行間手数料の引き下げやノンバンクへの開放をはじめとする改革に対して意欲を見せる。

稼働から約50年、老朽化に伴う課題が浮上

 全銀システムは全国の金融機関をネットワークで相互に接続し、振り込みなどをオンライン処理する。銀行や信用金庫など約1200の金融機関が参加、1日当たり平均で約650万件の取引を処理している。

 全銀ネットはおよそ8年サイクルで、全銀システムの大規模な刷新を繰り返してきた。直近では2019年11月に、従来と比べて処理能力を2割向上させた第7次システムが稼働した。2018年10月には「モアタイムシステム」が稼働し、24時間365日対応も終えている。

各銀行のシステムはRC経由で全銀システムとつながる
各銀行のシステムはRC経由で全銀システムとつながる
(出所:全銀ネット有識者会議の資料を基に日経クロステック作成)
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 刷新を重ねて金融の基幹インフラとしての役割を長年担ってきた全銀システムだが、稼働から50年近くが経過し、老朽化に伴う課題が生じつつあった。「中継コンピューター(RC)」はその1つだ。

 全銀システムは金融機関のシステムとの接続に、アプライアンス製品であるRCを利用している。現状では、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)といった新たな技術に対応しきれていない。銀行などは自らのデータセンターにRCを設置する必要があり、運用管理の負担も重い。

 オープン化の議論もこれからだ。全銀システムは富士通製のメインフレームで動作している。8次システムへの移行に向けて、オープン化は検討テーマの1つとして挙がる見込みだが、実現しても2020年代後半になる可能性が高い。全銀システムの開発に関わったメガバンク元幹部は「信頼性と性能要件の双方を満たす必要があるため、新しい技術を取り込みづらく、コストも高止まりしていることが課題だ」と打ち明ける。