
年を追うごとに深刻化する人口減少などを背景に、国内の様々な産業で取り組んできたロボットの社会実装。それがこの半年ほど、実用化へ向けて一挙に加速し始めた。きっかけは新型コロナによる社会の変革だ。物流・宅配、飲食店、オフィス……。あらゆる場所が、人とロボットの共生を前提に再設計され、ロボット活用はデジタル革新のツールにもなっている。「新しい生活様式」の中にロボットが溶け込む「ロボット共生社会」に向けた現状と課題をリポートする。
リアル空間のDXが始まる
年を追うごとに深刻化する人口減少などを背景に、国内の様々な産業で取り組んできたロボットの社会実装。それがこの半年ほど、実用化へ向けて一挙に加速し始めた。きっかけは新型コロナによる社会の変革だ。物流・宅配、飲食店、オフィス……。あらゆる場所が、人とロボットの共生を前提に再設計され、ロボット活用はデジタル革新のツールにもなっている。「新しい生活様式」の中にロボットが溶け込む「ロボット共生社会」に向けた現状と課題をリポートする。
出典:日経コンピュータ、2020年10月1日号 pp.26-39
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労働力不足や、感染症対策としての非接触・非対面のニーズの高まりを受け、人に代わって人を手助けするサービスロボットの導入が進む。環境や運用ルールの整備も進み、「ロボットと共生する街」の実現が近づいてきた。
表情豊かなロボットが公道で荷物を運び、多忙な宿泊施設では食材を客に届ける。巨大な物流倉庫では、作業棚の運搬やピッキングをロボットが担い作業員を助ける。人とロボットの二人三脚による物流DXで、宅配クライシスとコロナ禍に立ち向かう。
コンビニでは年々深刻化する人手不足を解決すべく、ロボットによる商品陳列の試験運用を開始。目指すは店員1人とロボットによる店舗運営だ。飲食店でも新型コロナウイルスの大流行をきっかけに、ロボットの活用が増加。「密」回避と効率化によるコスト削減という2つの効用で苦境打破を図る。
新型コロナ禍の長期化によりテレワークの常態化が進む中、コミュニケーションの促進だけでなく労働力不足の解消のためにも、オフィスで分身(アバター)ロボットを活用する例が広がりそうだ。