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 「AI(人工知能)時代の最高峰となるコンピューティング企業を作る」―。米NVIDIA(エヌビディア)創業者兼CEO(最高経営責任者)のJensen Huang氏は2020年9月に発表した英Arm(アーム)の買収についてこう語った。今回の買収はIT業界だけでなく、AIの活用が進む自動車業界にも大きな影響を及ぼしそうだ。

 今後、クルマの競争軸はAI(人工知能)などの「ソフト」にシフトするといわれている。車両の販売後もOTA(Over The Air)によってソフトを追加・更新する「ソフトウエア・ディファインド・ビークル(SDV:Software Defined Vehicle)」が主戦場になる(図1)。SDVはすでに米Tesla(テスラ)が電気自動車(EV)「モデル3」などで実現しているが、トヨタ自動車やドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)なども追随する方向である。

図1 ソフト定義のクルマへ
図1 ソフト定義のクルマへ
(a)ECU構成の変化。SDVでは統合ECUでソフトを一括管理し、OTAによる更新が容易になる。(b)テスラの「モデル3」。(c)モデル3が搭載する統合ECU「FSDコンピューター」。(出所:aは日経Automotive、bとcはテスラ)
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 SDVの心臓部となる統合ECU(電子制御ユニット)は、旧来のECUとは異なり、高性能のプロセッサーやAIソフトなど、IT系の技術を多用する。このため、現状では米NVIDIA(エヌビディア)や米Intel(インテル)/イスラエルMobileye(モービルアイ)といったIT系の半導体メーカーが強い影響力を持つ。自動車メーカーや1次部品メーカー(ティア1)は、有力な半導体メーカーと提携関係を結び、技術の囲い込みに走っているが、逆に半導体メーカーに支配されるリスクも抱えている。