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 大手生命保険会社の第一生命保険がAI(人工知能)などを駆使したデジタル変革(DX)をコロナ禍で加速させている。オンライン販売やAIを活用した保険商品提案、コストを抑えたDXの基盤となる基幹システム刷新、独自のAIOCR(AIと光学的文字認識を組み合わせた技術)など生保の新常態(ニューノーマル)に挑む第一生命の施策を解説。第1回は保険商品の提案から契約まで非対面・非接触で完結できるようにする取り組みに迫る。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、顧客の家や企業への訪問のイメージが強かった大手生命保険の営業のあり方が大きく変わりそうだ。チャットツールやビデオ会議システムなどを使い、オンラインでの顧客との接点を拡大する動きが出ている。

 第一生命保険は保険商品の非対面販売導入に踏み切った。従来の営業職員による顧客サポートという強みは残しながら、オンラインで営業職員と顧客が対話できる体制を整える。新型コロナに対応しつつ、顧客の生命保険に対するハードルを下げる狙いだ。

東京・銀座のGINZA SIXにある第一生命保険の首都圏営業本部首都圏コンサルティング営業室ではタブレットを使った非対面営業をトライアルで先行して実施する
東京・銀座のGINZA SIXにある第一生命保険の首都圏営業本部首都圏コンサルティング営業室ではタブレットを使った非対面営業をトライアルで先行して実施する
撮影:日経クロステック
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販売から契約までオンラインで完結

 第一生命は約40億円を投じて全国約4万人の営業職員にスマホを配布し、顧客への営業や保険商品の提案を全てオンラインでできるようにする。2021年3月から一部のエリアではじめ、順次全国へ拡大する。

 さらに2020年度中にも顧客がPCやタブレットで申し込み手続きができるWebシステムを導入する。これにより顧客にとっては保険商品の提案を受けてから契約するまで、一度も営業職員にリアルで会うことなく非対面で完結できる体制が整う。

 「新型コロナの感染拡大によって、スマホによるオンライン営業に踏み切る経営判断があった。100年続いた対面営業を変える」と第一生命の能田邦明生涯設計教育部イノベーション推進部フェローは話す。もともと明治安田生命保険や日本生命保険など他社の動向を見て、顧客との接点としてスマホを用いる検討はしていたが、具体的な導入までは議論していなかった。

 しかし、新型コロナの感染拡大を受け状況は一変。非対面営業の体制を整えることは急務と捉え、オンライン販売の導入を決断した。コロナ禍でも顧客が新型コロナ感染の心配をせずに営業職員とやりとりができるように、対面/非対面どちらの選択肢も取れるようにする。