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 大手生命保険会社の第一生命保険がAI(人工知能)などを駆使したデジタル変革(DX)をコロナ禍で加速させている。オンライン販売やAIを活用した保険商品提案、コストを抑えたDXの基盤となる基幹システム刷新、独自のAI OCR(AIと光学的文字認識を組み合わせた技術)など生保の新常態(ニューノーマル)に挑む第一生命の施策を解説。第3回は医療機関の発行する領収書など非定型帳票も含めてAIの「確信度」という機能を取り入れたAI OCRを取り上げる。

 「腹腔鏡下腸管癒着剥離術」「経皮的血管形成術」……。くせのある手書き文字で書かれた難しい手術名も高い精度で読み取れる――。

 第一生命保険は2020年7月、保有契約の手続き処理である「保全業務」の一部業務にAI OCR基盤の導入を始めた。保全業務は契約者の保険料の支払い方法変更や名義の変更、解約などに関する事務処理だ。

 段階的に対象業務を広げて、2022年の中ごろまでに年間300万件ほどある手続きでの入力業務や内容の点検業務について業務量換算で4割の効率化を目指す。入力業務は例えば口座番号などを入力する作業で、内容の点検業務は例えば請求書と免許証の氏名が一致しているかどうかといったチェック作業のことだ。

AI OCR 基盤を使った読み取りテストの例。専門的な用語である手術名なども高い精度で文字認識できるという
AI OCR 基盤を使った読み取りテストの例。専門的な用語である手術名なども高い精度で文字認識できるという
出所:第一生命保険
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 顧客の契約変更や保険金・給付金の支払いの過程で、第一生命は1日あたり平均7万枚ほどの書類やイメージを事務員が目視で点検している。年間1700万枚にも上る。この事務処理をAI OCR基盤の導入で効率化する。同社規定の請求書といった「定型帳票」のほか、免許証や健康保険証、マイナンバーカードのコピーなど顧客の本人確認書類や、病院が発行する領収書といった「非定型帳票」など約700種類の帳票を自動で読み取れるようにする。

 第一生命は契約に関する手続きをデジタル化する取り組みを進めてきたが、本人確認書類や病院の領収書については、一定程度紙の書類が残っている。書類に記載されている内容の確認や点検、システムへの入力といった事務員の作業をどう効率化するかという課題があった。