DX(デジタルトランスフォーメーション)へのニーズが高まる中、IT関連資格にどのような変化が起きているのか。新型コロナの感染拡大を防止する必要から、資格試験が中止になるなど、受験機会の制約の影響も要注目だ。日経クロステック会員へのアンケート調査から、2020年の今を映す「いる資格」「いらない資格」を探った。
「IT資格実態調査」を2020年9月、日経クロステックで実施。編集部が選んだ49種類の資格について、アンケート形式で、保有状況や役立ち度合い、今後の取得意向を調べた。345人の回答から、IT資格の最新動向をひもとこう。
最初に、現在保有しているIT資格を見る。
資格の保有率が低下
回答者が「保有している」というIT資格をすべて答えてもらい、10人以上が保有するものをランキングした。
トップは「基本情報技術者」で197人が保有、全回答者345人に占める「回答率」は57.1%である。「応用情報技術者」が145人(回答率42.0%)で2位、「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」が78人(同22.6%)で3位と続く。ベスト3の顔ぶれと順位は、2019年8月に実施した前回調査と同じだった。
ただし、前回調査に比べていずれも回答率、言い換えれば「保有率」が低下した。基本情報技術者の前回回答率は61.8%だったので、4.7ポイント減になる。応用情報技術者は5.9ポイント減、情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)は9ポイント減と、落ち込みは小さくない。
保有率の減少幅が最も大きい資格は、「プロジェクトマネージャ」で12.7ポイント減。「PMP(Project Management Professional)」も8.7ポイント減と、プロジェクトマネージャ関連資格の落ち込みが目立つ。
保有率の低下傾向は、資格全体で見て取れる。全回答数を回答者数で割った「1人当たりの資格保有数」は前回の4.35から今回は3.26に下がった。1人当たり1個強、保有資格が減った計算だ。新型コロナの拡散防止対策で、例えばIPA(情報処理推進機構)が「令和2年度春期試験」(4月19日実施予定)の全試験を中止するなど、受験機会の減少が響いているとみられる。IPAによれば、2019年の「平成31年度春期試験」(4月21日に実施)の受験者は14万2220人、合格者は3万2790人だった。
保有率が最も上がった資格は、「G検定(JDLA Deep Learning for GENERAL)」で5.3ポイント増だった。DXへの取り組みの一環で、データ分析やAI(人工知能)活用のニーズが数字を押し上げている側面がうかがえる。