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2020年9月に日経クロステックで「IT資格実態調査」を実施。編集部が選んだ49種類の資格について、アンケート形式で、保有状況や役立ち度合い、今後の取得意向を調べた。345人の回答から、IT資格の最新動向をひもとこう。
今回は、アンケートに寄せられた生の声を紹介する。まずは、IT資格を取得するモチベーションについてのコメント。自己の研鑽(けんさん)を通じて、知識の幅を広げようという姿勢がうかがえる。
資格は自己研鑽のために取得している。ただ資格を取得するだけでは評価にはつながらない。評価につなげるには良質なアウトプットが必要だが、そのために継続してインプットすることが必要であり、その手段として資格の勉強、取得は有用であると考えている。(ユーザー企業、40~49歳)
自己の業務知識の幅を広げたり、不足している知識を学べたりするメリットがあるので、資格試験の学習を続けている。情報処理技術者試験でも、DXやセキュリティーに重点を置いて出題されているので、学び直しの良いきっかけになっている。(IT企業、40~49歳)
次は、IT資格を取得する意義について。IT資格の取得により、一定のスキルを保有する証明になるという意見が多い。
保有するスキルを客観的に証明するためのツールとして必要だ。職務経歴書だけではスキルを読み取りきれないことが多い。(IT企業、30~39歳)
資格が実力を測る物差しにはならないかもしれないが、仕事できる人には資格所有者が多い。向上心を見る物差しにはなるかもしれない。(IT企業、50~59歳)
IT資格がスキル証明になる一方で、業務に直結しないという指摘も少なくない。
ITに関する知識を体系的にムラなく習得し、アウトプットできることを確認し、知識レベルを端的に第三者に伝えやすいために資格を取得している。一方でITに関する実務を経験しなければその知識を生きたものにすることができないことも理解している。(ユーザー企業、40~49歳)
IT技術者としての基礎を身につけるという意味で必要。また、ユーザーに対しスキル保有の証明として役立つ。 ただし、資格を取得したからIT技術者として活躍できるわけではない。必要だが十分ではない。(IT企業、40~49歳)
IT資格の数が多く、各資格の保有効果を評価しづらいという声も寄せられた。
IT関連資格の数が多すぎるのもありますが、取得しても何らメリットがないことが多いように感じています。 資格を取ればいいというものでもありませんが、給与や評価、待遇などにもっと反映されるようになればより活性化するのではないかと思います。(IT企業、30~39歳)
官民で多数のIT関連資格があり、どの資格がどのような目的・効果・レベルのものか分かりにくい。有資格者を活用するに際しての評価が非常に難しい。第三者機関でフラットな評価があれば分かりやすくなるのではないか。(その他、50~59歳)