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 「DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する際には、ぜひアジャイル型の働き方をお勧めしたい」。2020年10月13日、「日経クロステック EXPO 2020」のテーマ特別講演でこう語ったのは、アフラック生命保険の二見通上席常務執行役員CIO(最高情報責任者)だ。二見上席常務執行役員は「アフラックが加速させるデジタルトランスフォーメーション戦略」というテーマで、自社の取り組みやDXを進めるうえでのポイントを紹介した。

「日経クロステック EXPO 2020」でオンライン講演するアフラック生命保険の二見通上席常務執行役員CIO(最高情報責任者)
「日経クロステック EXPO 2020」でオンライン講演するアフラック生命保険の二見通上席常務執行役員CIO(最高情報責任者)
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 アフラックは2019年から、短期間で繰り返し成果を積み上げていくアジャイル型の働き方を社内で浸透させてきた。「保険金請求手続きのUI/UXデザイン」などのテーマごとにプロジェクトチームを立ち上げて進めている。プロジェクトチームにはマーケティングやバックオフィス、ITといった様々な部門から社員が参加している。

 二見上席常務執行役員は「経営や事業の環境変化が激しい時代に適していると判断してアジャイル型の働き方を採用した。機能横断的なチームには大幅な権限を与えて自律的に活動させている。各チームではお客様のペインポイント(困り事)をしっかりと定義したうえでメンバーが一丸となって目標達成に取り組んでいる」と説明する。2週間ごとに目標を決めて達成する反復的なプロセスを回しているという。

 アジャイル型の働き方で得られた成果は出てきている。その1つが音声認識などのAI(人工知能)を組み込んだ社内のITヘルプデスク業務向けのチャットボットだ。3カ月程度で開発できた。問い合わせ件数全体のおよそ85%をAIが回答しているという。「AIなので質問や回答のやり取りが増えるにつれて、回答の正確性が向上する。社内でも高い評価を得ている」(二見上席常務執行役員)という。

 このほか、オフィス内を自由に移動できるAIロボットを導入し、在宅勤務をする支社長が、オフィスにいる他のメンバーとリモートでコミュニケーションを取れるようにした。この仕組みの開発期間も約3カ月だった。また営業職員がスマートフォンやタブレット端末などを使って、非対面で顧客に対して商品説明などをしたり、保険加入の手続きを進めたりできるDXの仕組みを6カ月ほどで開発。2020年10月後半から順次、保険代理店へ展開していくという。

 二見上席常務執行役員は「投資対効果を重視しながら、3カ月や6カ月といった期間で必ず成果を出すようにしている」と話す。ほかのDX推進のポイントとして「企業理念や文化、ミッションに基づき社内で共有」「企業や人々を取り巻く大きな環境変化に対応したり、変化を見越したりするためのデジタルを前提とした企業運営」といったことを挙げた。