全988文字

 東京都の小池百合子都知事は2020年10月12日、「ポスト・パンデミック、デジタル東京への道」と題して、オンラインで開催された「日経クロステック EXPO 2020」で講演した。都民の生活から働き方、行政サービスまでをデジタル技術を駆使して改革するビジョンを示すとともに、進行中の具体的なプロジェクトを紹介した。

「日経クロステック EXPO 2020」で講演した東京都の小池百合子都知事
「日経クロステック EXPO 2020」で講演した東京都の小池百合子都知事
[画像のクリックで拡大表示]

 「世界に比べると我が国の行政のデジタルシフトは遅れていると言わざるを得ない」。小池都知事はスイスのビジネススクールIMDがまとめたランキングで23位となった日本の現状を引き、強い危機感を示した。「デバイスやITインフラの普及は評価されている一方で、データ活用や人材育成の遅れが原因ではないか」(同)。

 日本のデジタル化をけん引する意識の下、小池都知事は「スマート東京」と題した改革プロジェクトを進めている。「デジタルの力で都民のQoL(クオリティー・オブ・ライフ、生活の質)を高めるとともに、行政のQoS(クオリティー・オブ・サービス、サービスの質)も向上させる」のが狙いだ。プロジェクト推進へ東京都は2019年12月、「未来の東京」戦略ビジョンを策定した。「(未来の目標から逆算する)バックキャストの視点から、東京の進むべき道を示した。デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出す」(同)。

 具体策として都は現在、自動運転や人工知能(AI)、ロボット、5Gといった先端技術を使った実証実験に取り組んでいる。例えば西新宿を先行実施地域に定め、5G通信によって都市や防災の情報を配信する「スマートポール」の敷設や活用を進めている。5Gの普及を後押しするため、都の保有資産の情報をまとめたデータベースを作り、通信事業者に開放している。バス停や地下道の出入り口、街路灯など、1万5000件の資産情報を公開済みという。

 「東京が世界から選ばれる都市に生まれ変わるには一刻の猶予もない。新型コロナウイルス禍による国難とも言える状況をむしろ変革の契機と捉えて、制度の根本にさかのぼって構造改革を強力に推進する必要がある」。小池都知事はこう強調。デジタル空間にもう1つの都庁を作り、デジタル技術を駆使した都民サービスを実現する「バーチャル都庁構想」を推進中と明かした。さらに昨年末にまとめた「未来の東京」戦略ビジョンを更新して、「今年度中に長期戦略として結実させる」と述べた。