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 トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)CEO(最高経営責任者)のジェームス・カフナー(James Kuffner)氏は2020年10月19日、オンラインで開催された「日経クロステック EXPO 2020」で「Smart Mobility in a Cloud-Connected World」と題して講演した。

TRI-AD CEOのジェームス・カフナー氏
TRI-AD CEOのジェームス・カフナー氏
(撮影:日経クロステック)
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 同社は2018年3月にトヨタ自動車、デンソー、アイシン精機の合弁会社として設立された。自動運転の研究・試作を担当する米Toyota Research Institute(TRI、トヨタ・リサーチ・インスティテュート)と、量産を担当するトヨタ、デンソー、アイシン精機の間に立ち、技術の「橋渡し役」を担う。

 講演では「レクサスLS」に搭載するレベル2の自動運転技術「Teammate(チームメイト)」の動画を見せた。運転者がハンズオフ(手放し)のまま、高速道路の入り口から出口まで、車線を変えながら自動運転できる。OTA(Over The Air)にも対応し、無線で機能を追加・更新できる。MaaS(Mobility as a Service)向けに開発しているレベル4の自動運転車両「TRI Platform 4(P4)」の走行動画も見せた。

 自動運転の開発ではソフトウエアが鍵を握る。車載するソフトはごく一部にすぎず、「開発やテストのためのツール群が9割を占める」(同氏)とする。また、AI(人工知能)のアルゴリズムは多くがオープンソース化されており、いかに優れた学習用データを大量に持っているかが重要と述べた。自動運転の安全性を検証するシミュレーションについては、クラウド上で並列に実行する手法がゲームチェンジャーになると指摘した。

 同社は21年1月に持ち株会社のウーブン・プラネット・ホールディングス、事業会社のウーブン・コア、ウーブン・アルファ、投資ファンドのウーブン・キャピタルの4社体制に移行する。ウーブン・コアは主に自動運転技術の開発や実装を担う。一方、ウーブン・アルファはスマートシティー「Woven City(ウーブン・シティ)」やソフトウエア開発環境「Arene(アリーン)」、地図生成技術「AMP(Automated Mapping Platform)」などの新領域を手がける。

 講演では新体制後の取り組みについても触れた。Woven Cityは20年1月の「CES」で発表した実験都市構想で、東富士(静岡県裾野市)の私有地にさまざまな新技術を導入し、評価・改善を行う。パーソナルモビリティーやMaaS、自動運転関連のほか、ロボット技術や住宅、高齢者支援、自然保護、水素活用など、幅広いテーマを掲げる。21年初頭に着工する。Areneは、独自のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を提供することで、車両の安全性やセキュリティーを守りながら、車載ソフトを簡単かつ効率的に開発できるようにする。