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222nmの紫外線でウイルスの不活化・殺菌を行う

 最後に、ウシオ電機 事業統括本部インキュベーションセンターCARE222プロジェクトリーダー 主任研究員の大橋広行氏が登壇し、222nm(ナノメートル)の深紫外線によるウイルスの不活化効果と安全性、それを活用した製品について紹介した。「2020年1月に中国・武漢での新型コロナウイルスの流行を受けて、222nm紫外光のコロナウイルスに対する有効性検証を開始した。まず(同年)2月から3月にかけて猫コロナウイルスと人コロナウイルスに対する効果を確認し、この成功を受けて(222nmの紫外線でウイルスの不活化や殺菌などを行う)『Care222』の試作機の先行生産を決定し、(同年)4月に新型コロナウイルスに対する検証を開始した」(大橋氏)

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 特殊光源エキシマランプに独自開発の光学フィルターを組み合わせることで「従来の254nmのような危険性の高い光を大幅に低減し、安全性を向上させている」(大橋氏)と言う。「254nmの殺菌灯は皮膚の角質層を通過して生きた細胞内部まで入るが、222nmは角質層でストップする。目に対しても同様で、222nmは角膜表面でストップするのに対し、従来の254nmでは内部まで入って角膜炎などの症状を引き起こすことが分かっている」(大橋氏)

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 20人のヒト皮膚に対する222nm照射の臨床実験も行った。「基本的に(紫外線の)TLV(許容限界値)に基づいて使用していただくことになっているが、万が一その数十倍照射されたとしても皮膚や目などに障害が起こらないということが、弘前大学、コロンビア大学、ハーバード大学、神戸大学、島根大学などで確認されている」(大橋氏)

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 そのほか大橋氏は、222nmの紫外線が新型コロナウイルスの不活化に効果があると実証した、米コロンビア大学の論文や広島大学の論文なども紹介した。

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 Care222を天井に設置した場合に、どのくらいでウイルスを不活化できるのか。 「99%ウイルス不活化するためには、天井から0.5mの距離で20秒、1.5mの距離で2.4分、15mの距離では6.7分くらいが必要になる。実運用に関しては、222nm紫外線の許容限界値は1日あたり8時間以内で、22 mJ/cm2以下にする必要がある。Care222は、この許容値を基に設置基準を設定している」(大橋氏)

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 Care222を採用した製品として、現在ウイルスの抑制や除菌を行う「Care222 U3ユニット」を販売しており、秋にはウイルスの不活化・殺菌を行う「Care222 光源モジュール」の発売も予定している。

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 今後の展望については、まず「空調設備、昇降機などの空間インフラ市場に展開し、優良他社との事業アライアンスを展開していく」(大橋氏)と言う。

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 「その後は自動車、電車、航空機、船舶など、振動のある過酷な環境での対策を軸に開発していきたい。2025年度以降になるが、感染予防と制御の市場への展開、医療現場における人体への直接的な照射の実用化など、除染機器や感染予防機器に展開して聞きたい」(大橋氏)