全1012文字
PR

 ランドデータバンク(LDB)の徳永順二代表取締役社長CEO(最高経営責任者)は2020年10月20日、オンラインで開催している「日経クロステック EXPO 2020」で、データを活用した金融サービスで建設業界を支援する取り組みについて講演した。同社は2019年7月、INCJ、コマツ、三井住友銀行、三井住友ファイナンス&リース、三井住友カードが出資して設立した金融サービス会社だ。

「日経クロステック EXPO 2020」で講演するランドデータバンクの徳永順二社長
「日経クロステック EXPO 2020」で講演するランドデータバンクの徳永順二社長
[画像のクリックで拡大表示]

 LDBは金融サービスの第1弾として2020年9月に「立替・決済サービス」の提供を始めた。資材などの購入費をLDBが立て替えるもので、建設会社は工事が完了して施工主から代金が支払われた後、LDBに立て替え分を支払う。

 立替・決済サービスでは、建設業界に特化した独自の与信アルゴリズムを用いることで、これまで資金調達が難しかった中堅・中小の企業でも利用できるような精緻な分析を行う。財務モデルを29種類の建設業の業種に分けて分析する仕組みや、公共工事の入札に用いられる「経営事項審査」と呼ばれる情報を利用する仕組みなどを用いているという。

 今後は、工事を開始した後に得られる資材や作業員、建設機械などのデータも収集して、与信精度のさらなる向上に活用する計画だ。

 データを活用した金融サービスを提供する背景には、建設業界が抱える課題がある。多重下請け構造を持ち、99%が中堅・中小企業からなることに由来するもので、1つは深刻な労働力不足と低い生産性だ。この課題の要因が、他の産業に比べてICT機器の導入が遅れていることだという。もう1つの課題は、施主から工事を発注したときに資金の持ち出しが発生すること。工事が完了した後に代金が支払われ、そのお金で資材などの購入費を返済するキャッシュフローになっている。中堅・中小企業は資金調達の手段が、ほとんど銀行融資に限定されているという。

 ICTやデジタル技術の導入で生産性を高めるとともに、資金調達の方法を多様にしてお金の流れを良くすれば建設業界の活性化と成長につながる。徳永社長は「こうした理解のもとに生まれたのがLDBだ」と話した。

 LDBは将来、集めたデータを活用してさらなる新サービスの創出も目指している。例えば、建機の稼働状況に応じて月額などの支払額を柔軟に変動させるリース・割賦サービスや、建設現場の作業員の状態などを基に安全性を分析して保険料を設定する保険サービスなどを検討しているという。