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 BOOSTRYの佐々木俊典社長は2020年10月20日、オンラインで開催している「日経クロステック EXPO 2020」で、「証券トークンで広がる『ファン作り×資金調達』」と題し講演した。証券トークンとはブロックチェーンを通して取引する証券を指し、新たな資金調達手段として注目されている。

「日経クロステック EXPO 2020」で講演するBOOSTRYの佐々木俊典社長
「日経クロステック EXPO 2020」で講演するBOOSTRYの佐々木俊典社長
(撮影:日経クロステック)
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 ブロックチェーンを活用するFinTechとしては、仮想通貨技術を使った資金調達手法であるICO(Initial Coin Offering)が記憶に新しい。2018年には世界で2兆円以上が発行された。しかしICOは法律上の権利義務が曖昧であることから詐欺が横行し、投資家が不利益を得るケースが増加するなどの課題もあった。証券トークンは法律上の権利義務、開示の定義があることから、安心して参加できるものとして注目を集めているという。

 佐々木社長は、証券トークンの普及により資金調達に2つの変化が起こることが期待できると指摘する。1つはオンデマンドな資金調達だ。今までの資金調達の大半は大企業が主体となり調達額も大きかったが、証券トークンでは多様な企業が少額で募ることができる。例えば毎週社債を1億円ずつ発行したり、ウイスキーを証券化したりといった利用法も見込めるとする。

 もう1つがファン作りを狙った資金調達だ。今までの資金調達は文字通り、事業展開に必要な資金を獲得することが主な目的だった。証券トークンのスキームが広がれば、投資を通して個人と企業の関係性を維持するといったマーケティング手法が考えられると佐々木社長は語る。「企業がCMを通し消費者に買ってもらう、いわゆる消費の糸だけで互いにつながっている状態では、糸の維持に費用がかかるうえ切れやすい。しかし消費者から企業に対して投資してもらい、ポイントやVIP待遇などの非金銭価値を継続的に返す投資の糸は切れづらい」(佐々木社長)。

 佐々木社長はBOOSTRYの「ibet」のような証券トークンの取引基盤が共通化、標準化されていくことは、証券トークンの普及において重要だと強調する。今後は「大手の証券会社が証券トークンを個人向けに販売できるようになれば、さらに広まっていくだろう」(佐々木社長)と展望する。