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リストラなどで本業への経営資源の集中を進めてきた富士通が攻めに転じた。だが世界の競合の壁は高く、成長の柱「DX」は未知の領域。新型コロナという逆風も吹くなか、時田隆仁社長が覚悟を語った。
目標に掲げた数字を達成できなければ「全てが駄目だった」と評価されるだろう。覚悟はできている。
日経コンピュータの取材に応じた富士通の時田隆仁社長が口にしたのは、結果責任の重さと自覚だった。2022年度(2023年3月期)に本業の「テクノロジーソリューション」の営業利益率10%を目指す――。田中達也前社長が掲げたものの、未達のまま先送りとなっている「数字」は、今や時田社長自身も経営方針説明などの場で公言する「必達目標」となった。
しっかりと定めた数値目標にとにかく近づけて、追い越すぐらいにやりたいという気持ちは現時点で萎えていない。環境整備というのかな、いろいろな制度や企業文化の変革に取り組んでいる。手応えががっつりあるかと聞かれれば「まだそこまでは」としか言えないが、ここまでできたといったある種の実感は持っている。
リストラにめど、反転攻勢へ
目標達成に向け、富士通は田中前社長時代から本業に経営資源を集中してきた。非中核事業を整理・縮小し、採算性が低い事業や地域から撤退した。
パソコン、携帯電話、ネット接続サービス、カーナビ、半導体といった事業を相次ぎ売却。2020年8月には富士通パーソナルズの携帯電話販売事業を最大手のティーガイアに売却した。
図 富士通の業績推移と主な事業再編・強化の動き
5年かけ本業に経営資源を集中させてきた 注:2014年度からは国際会計基準(IFRS)。2020年7月28日付でセグメントを一部変更し、2018年度と2019年度に遡って新セグメントを適用した。旧セグメント「その他/消去又は全社」について、全社共通費用を「テクノロジーソリューション共通」、セグメント間売り上げの消去を「全社消去」として分割するとともに、前者を「テクノロジーソリューション」に統合。その他組織変更や子会社の管理体制の変更に伴うセグメントを一部変更した。図中のテクノロジーソリューションの営業利益率には特殊事項を除いた新セグメントの数値を記載した。旧セグメントに基づく営業利益率は2018年度が6.0%、2019年度が7.9%。 ※:分社化、または事業譲渡
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