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富士通の弱さと強さとやるべきこと、改革に挑む時田社長ロングインタビュー全文掲載

改革の打ち手に込めた狙いからけん引役としての自らの責任、実行役である社員1人ひとりに求める役割、摩擦を乗り越えて果実を手にする道筋まで――。富士通の時田隆仁社長はときに言葉を選び、ときに冗舌に全てを語った。ロングインタビューを通じて、富士通改革の全貌をひもとく(2020年9月17日にインタビューを実施)。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長、玉置 亮太=日経クロステック/日経コンピュータ)

時田 隆仁(ときた・たかひと)氏
時田 隆仁(ときた・たかひと)氏
1988年、東京工業大学工学部を卒業、同年富士通入社。2014年6月に金融システム事業本部長。執行役員常務グローバルデリバリーグループ長などを経て、2019年6月より現職。フィールドSEとして大手の生命保険会社などを長く担当する。英ロンドンの駐在経験も持つ。(写真:村田 和聡、以下同)
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社長就任から1年あまり、振り返っての率直な感想は。

 あっという間でしたね。これは本当に正直なところです。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が起こるなかで経営のかじ取りをする立場になろうとは、それこそ1年前には思いもしませんでした。いろいろなことを経験したし、学んだと思います。

コロナ禍で改革加速

 社長就任後に打ち出した様々な施策はコロナ前から考えていたものばかりです。もちろんコロナの状況を受けてああしよう、こうしようと議論しましたが、基本的には2019年のうちに考えていた施策を実行してきました。コロナだからと特別に変えたり追加したりしたものはほとんどないんじゃないかな。

 ただ、コロナ禍によって改革が加速したのは間違いありません。少し時間がかかると思っていたことが思い切り進んだのと、変革のシナジーによって個々の施策がより加速した面はあると思います。

 例えばオフィスのリニューアルについては、ビフォーコロナからテレワークを導入し、事業所の一部見直しを進めていました。コロナによってテレワークが常態になったことで、オフィスの在り方についての考え方の深さや視点の高さが変わったのは確かですね。

先送りにしてきた「本業であるテクノロジーソリューションの利益率10%」を達成するため、様々な手を打っています。改革の意義をどう捉えていますか。

 ゴールに定めた数字を達成できなければきっと皆さんからの評価は散々なものになるでしょう。オフィスや働き方、人事制度などの改革は全て、ゴール達成に向けたものです。数字を達成できなければ全てが「駄目だった」と評価されるでしょう。社長として、その覚悟はできています。

 目標に定めた数値にとにかく近づけて追い越すぐらいにやりたいという気持ちは萎えていません。手応えががっつりあるかと聞かれれば、まだそこまでは、としか言えませんが、目標達成に向けたいろいろな環境整備というのかな、制度改革とかカルチャーチェンジについて、ある種の実感は持っています。

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顧客から見てどうあるべきか、真っ先に考える

具体的な改革施策の1つ、複数の会社を整理統合して国内事業を統括する新会社「富士通Japan」をつくりました。新会社の重要性を改めて教えてください。

 日本のマーケットは富士通のビジネスの中心です。グローバルの事業地域を幾つかに分けたリージョンの中でも、ジャパンリージョンは富士通のビジネスと成長をけん引する最も大きな市場です。富士通は日本企業ですから、そういう意味でも日本に対しての責任と(日本の顧客企業への)貢献についての気持ちはやっぱり大きいです。

 政府が行政のデジタル化を急速に進めようとしていますが、あえて言えば日本のデジタル化が遅れた原因の一端は富士通にあると考えています。富士通Japanはその思いも受け止めて、責任を果たす会社にするつもりです。

 実は昨日、富士通Japanに合流するメンバー900人ほどを集めた「タウンホールミーティング」をやったんですよ。もちろんオンラインですが、こちらから説明するだけでなく双方向でQ&Aできる場をようやく持てました。多くの社員にとっては(新会社は)期待よりむしろ不安のほうが大きいでしょうから、直接答える場を設けたわけです。でも思いのほかポジティブなコメントがありましたし、自己満足かもしれませんが良い場をつくれたと思っています。