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 米Apple(アップル)は米国時間の2020年10月13日、新製品発表会で新しいiPhone「iPhone 12」など4機種を発表した。全機種で5Gに対応したことが大きなトピックだが、特に気になったのは新モデルというべき「iPhone 12 mini」をラインアップに加えてきたことだ。その狙いは一体どこにあるのだろうか。

バランスが崩れていたiPhoneラインアップ

 新型コロナウイルスの影響で、2020年9月の新製品発表会では発表されなかった新iPhone。それから約1カ月が経過した米国時間の2020年10月13日、ようやく2020年のiPhone新機種が発表されることとなった。

 今回のiPhone 12シリーズは全4機種。従来モデルの後継ともいえる「iPhone 12」「iPhone 12 Pro」「iPhone 12 Pro Max」に加え、新たに「iPhone 12 mini」が加わった。全機種で5G対応を打ち出したこともインパクトがあるが、アップルがiPhoneを4機種も投入してきたのはiPhoneの「少数精鋭」を貫いてきた同社からすると意外でもある。

アップルは米国時間の2020年10月13日に「iPhone 12」シリーズ4機種を発表。いずれも従来機種からデザインを大幅に刷新し、5Gに対応しているのが大きな特徴だ
アップルは米国時間の2020年10月13日に「iPhone 12」シリーズ4機種を発表。いずれも従来機種からデザインを大幅に刷新し、5Gに対応しているのが大きな特徴だ
(出所:アップル)
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 ただアップルの戦略を考えた場合、iPhone 12 miniをラインアップに加えて4機種構成にしたことは理にかなっている。というのもアップルは、2017年に新機軸を打ち出した「iPhone X」の投入以降、ラインアップのバランスを大きく崩してしまっていたからだ。

 それを象徴しているのが2018年のラインアップである。同年の新機種を振り返ると、高価格モデルが「iPhone XS」「iPhone XS Max」と2機種であるのに対し、普及モデルは「iPhone XR」の1機種のみ。普及モデルより高価格モデルの種類が多く、消費者から見れば高価格モデルのほうが主流に見えてしまうという、バランスを欠いたラインアップとなってしまったのだ。

 アップルとしてはこれまで、低価格を求める消費者には旧機種を値下げして提供することで対応していたものの、リーズナブルな新製品がほしいというニーズに応えられていなかったのは確かだろう。2019年の「iPhone 11」シリーズでブランドやデザインなどを統一したことでラインアップに対する消費者の違和感は減少したものの、それでも高価格モデルのほうが選択肢が多く、主流に見えてしまう状況は変わらなかった。