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 「iPhone 12」シリーズ4製品が2020年10月13日(米国時間)に米Apple(アップル)から発表された。事前のリーク情報と思しき下馬評の数々で、新製品発表にもかかわらず新鮮味の少なくなった最近のiPhone発表イベントだが、2021年以降に続く重要な新トピックが含まれている点で今回の新製品は注目に値する。

 個人的な話だが、筆者は現在ソフトバンク回線でiPhone 8(日本版)、米AT&Tの回線でiPhone 7 Plus(米国版)を維持している。この2台のiPhoneのうち、iPhone 7 Plusを実に4年ぶりにiPhone 12 Pro Maxで置き換えようかと考えている。iPhone 7 Plusを導入した最大の理由が「シャッター音のしない高性能カメラ携帯が欲しい」というものだったので、今回のiPhone 12 Pro Maxはちょうど筆者の目的に合致している。

iPhone 12 Pro/iPhone 12 Pro Maxの概要
iPhone 12 Pro/iPhone 12 Pro Maxの概要
(出所:アップル)
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なぜ米国モデルだけがミリ波対応なのか

 iPhone 12で最大のトピックは「4機種すべてが5G(第5世代移動通信システム)対応」という点だが、正直ユーザー的な視点でみればそれほど重要な話ではない。現状で5Gの整備が進んでいる国のほうが少なく、当面はそれほど恩恵を受けられないからだ。特に日本の場合、主要3キャリアと楽天モバイルすべてをみても空港や特定施設でのみ5Gが利用できるという非常に限定的な状況で、これを改めるには最低でも2〜3年かかるとみられる。

 現状、iPhoneの買い替えサイクルは年々延びつつあるといわれるが、その意味では「5Gという視点」で今回のモデルを見逃して、2021年または2022年に買い替えるという選択肢もある。インフラが整ってから対応機種を購入しても問題ないというわけだ。

iPhone 12シリーズ全モデルが5G対応
iPhone 12シリーズ全モデルが5G対応
(出所:アップル)
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 今回のiPhone 12が、日本で発売されるモデルについて「Sub-6対応のみ」という問題もある。5G時代のスマートフォンは広域をカバーするLTEに加え、都市圏をカバーするSub-6、都市部の密集エリアを中心にさらに細かい範囲での基地局当たりの端末収容数を増やすミリ波の3つを合わせて運用する。

 ミリ波は周波数帯域が広く取れるため5Gの高速通信部分を担う。これがiPhone 12では利用できない点はマイナスにも思える。だが日本だけをみれば、ミリ波のサービスは始まったばかりで当面はエリアも非常に限定的のため、Sub-6だけでも問題ないという考えもある。実際、現在5G対応をうたって日本でリリースされているスマートフォンのうち、ミリ波まで対応している機種のほうが少なく、iPhone 12のSub-6対応でしばらくは問題ないという話に説得力を持たせている。

 iPhone 12について、現在ミリ波に対応しているのは米国で発売されるモデルのみであり、しかも実質的に米ベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless)用を想定したものになっている。10月13日のiPhone発表イベントでは米ベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications)会長兼CEOのハンス・ベストベリ氏が登壇し、その場で「5G Nationwide」という新しいサービスの提供を発表している。

 同社が2019年から提供していた「5G Ultra Wideband」ブランドの5Gサービスは主に都市部を中心としたミリ波のサービスであり、今回新たに提供される「5G Nationwide」は従来の4G(LTE)の周波数帯域を5G(NR)と共有する形で動作する「DSS(Dynamic Spectrum Sharing)」の仕組みを利用したもの。つまり、これまでのベライゾンの5Gインフラはミリ波を中心としたものであり、米国版iPhone 12のミリ波対応がベライゾンを想定しているといわれるのはこの点にある。

iPhone発表イベントに登壇した米ベライゾン・コミュニケーションズ会長兼CEOのハンス・ベストベリ氏
iPhone発表イベントに登壇した米ベライゾン・コミュニケーションズ会長兼CEOのハンス・ベストベリ氏
(出所:アップル)
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