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政府は2020年11月、国の予算執行の無駄を公開の場で検証する「秋の行政事業レビュー」を開催した。対象となった13事業には、下水道、道路、洋上風力発電などインフラ分野のものも含まれる。河野太郎行政改革担当相や外部有識者が、担当府省の取り組みの妥当性を評価した。動画サイトでも中継されたので、ご覧になった方もいるだろう。ここでは「インフラの持続可能性」や「インフラ産業の育成」という観点から議論を振り返ってみる。

2020年11月12~15日に開かれた「秋の行政事業レビュー」。河野太郎行政改革担当相や外部有識者が、担当府省の取り組みの妥当性を議論した(写真:政府インターネットテレビ)
2020年11月12~15日に開かれた「秋の行政事業レビュー」。河野太郎行政改革担当相や外部有識者が、担当府省の取り組みの妥当性を議論した(写真:政府インターネットテレビ)
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進まない下水道コンセッション

 まずは、下水道の最適化・広域化・PFI(民間資金を活用した社会資本整備)をテーマにした「地方のインフラの総合的整備」のレビュー。筆者が注目したのはPPP/PFIの実施状況だ。国土交通省の資料では、これまで従来型PFIを実施したのが8自治体、コンセッション方式の導入は2自治体にとどまっている。

 上下水道事業の民間運営については、料金上昇やサービス水準低下を懸念した根強い反対意見がある。これに抗せず、コンセッション方式の導入を断念する自治体も少なくない。料金の値上げは、人口減少と施設の老朽化によって、誰が運営しようと避けられない問題となっている。コンセッション方式は自治体側も一定の権限を持ついわば「部分民営化」だが、「完全民営化」と誤解されているケースも少なくない。

 レビューには、上水道・下水道・工業用水道を一体化してコンセッション方式の導入を目指す宮城県が、参考人として招かれた。県の担当者は、事業費削減効果が20年間で247億円以上になると説明。料金抑制など県民や市町村への還元につながることから、「水道民営化という誤ったイメージを払拭しながら進めたい」と話していた。

 河野行革相の発言は本質を突いていた。「補助金を出す前に、このままでは水道も下水道も維持できないことを市民に認識してもらう必要がある。料金が上がることをはっきりと伝え、PFIを導入するのか広域化するのか合併浄化槽に戻すのか、取るべき選択肢について議論すべきだ」と話した。