スマートシティやスーパーシティの構築に、数多くの自治体が名乗りを上げている。実現には自治体と民間事業者との連携が不可欠だ。民間事業者にも、街全体に長期にわたって関与でき、事業領域を広げられる期待がある。そこで鍵を握るのが異業種との協業だ。建設系企業にも間違いなくビジネスチャンスはある。
建設系企業がIT系など異業種の企業と連携するケースが相次いでいる。建設コンサルタントの長大は2021年1月、キャッシュレス決済を手掛けるイーグルペイ(東京・新宿)と資本業務提携したと発表した。スマートシティやスーパーシティに必要な決済機能を取り込むことで、新たな業務受注に結びつける狙いだ。
通信インフラ建設のミライトは、水族館や博物館の開発・運営を得意とするMMD(東京・渋谷)と資本業務提携に関する基本契約を結んだ。目的は、デジタル技術を活用したイノベーション創出を意味するデジタルトランスフォーメーション(DX)。水族館やミュージアム、まちづくりにおける設備機器の自動制御、遠隔支援、予防保全、エネルギー改善などに資する技術やサービスを提供していく。
建設会社がプラットフォーマーに
21年2月には、飛島建設がITシステム開発のアクシスウェア(東京・中央)を子会社化した。飛島建設は中期経営計画の基本戦略で、スマートソリューション事業を打ち出している。DXを武器に、建設分野にとどまらない事業領域の拡大を目指している。
建設会社がスマートシティのプラットフォーマーになる事例も少なくない。
20年7月に一部エリアが開業した「HANEDA INNOVATION CITY(羽田イノベーションシティ)」は、鹿島を代表企業とする羽田みらい開発(東京・大田)が事業主体のスマートシティだ。「先端技術のショーケース」「日本初のスマートエアポートシティ」を標榜している。
21年秋の開業に向け、東京都江東区豊洲で「日本初の都市型道の駅」を開発するのは清水建設だ。交通広場のバスターミナル機能を核として、オフィスやホテルと連携した街区を整備する。都市インフラや地盤、建物などの3次元データに、カメラやセンサーが収集した交通、人流、物流、エネルギー、環境といったデータをリアルタイムに反映させて、施設利便性を高度化する計画だ。