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画期的な未来都市をつくる目的で動き出した国の「スーパーシティ」構想。国家戦略特区の指定を受けようと、31の自治体グループが応募した。しかし、各グループへのヒアリングを終えた国のワーキンググループは2021年8月、「大胆な規制改革の提案が乏しい」と厳しい評価を下し、全グループに再提案を求めた。大胆さを求める政府と、ためらう自治体。スーパーシティの実現には、住民合意とマネタイズ(収益化)という高いハードルがある。

 内閣府地方創生推進事務局は2021年8月6日、スーパーシティの公募に名乗りを上げた31の自治体グループへのヒアリング結果を公表した。指定基準などを検討してきた国家戦略特区ワーキンググループ(座長:八田達夫・アジア成長研究所理事長)は、「大胆な規制改革の提案が乏しい」と応募した全自治体に見直しを要望。もともと今春といわれていた指定時期の見通しは、今のところ立っていない。

 ここに至る経緯を振り返っておこう。国はスーパーシティを「住民が参画し、住民目線で、2030年ごろに実現される未来社会」と位置付け、(1)生活全般にまたがる複数分野の先端的サービスの提供、(2)複数分野間でのデータ連携、(3)大胆な規制改革――の3つのポイントを掲げた。

 さらに、スーパーシティ区域の指定基準として、先端的サービスの提供や住民の個人情報の適切な取り扱いなど7項目を提示。先端的サービスに関しては、行政手続き、移動、物流、観光、医療・介護、教育、防災、エネルギー・環境、支払いの9分野を挙げ、5分野以上を満たす都市を指定する。スマートシティとの違いについて、スーパーシティとは「スーパーなスマートシティ」だと分かりやすく表現する国会議員もいた。

「スーパーシティ」構想の概要(資料:内閣府)
「スーパーシティ」構想の概要(資料:内閣府)
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スーパーシティ区域の指定基準(資料:内閣府)
スーパーシティ区域の指定基準(資料:内閣府)
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「補助金申請と混同」との指摘も

 8月6日に公表されたのは、こうした方針に基づいて応募した自治体にヒアリングした結果だ。ワーキンググループの講評は次のように厳しかった。

 「そもそも国家戦略特区の目的は、岩盤規制改革の実現である。スーパーシティはその中でもさらに、世界から注目されるようなスケールの大きな革新的な未来社会を実現する仕組みである。このためには最新の技術を用いる必要があり、広範な岩盤規制改革が必要であり、その実現には住民合意が必要である」

 さらに、「複数分野での規制改革を一体的に行う仕組みの設計も不十分」「補助金申請と混同している印象のものが少なくない」などと指摘。そのうえで指定対象になる条件を、(1)岩盤規制改革、(2)とりわけ住民合意を得ることで実現が期待できる大胆な規制改革――と念押しした。ワーキンググループは自治体に提案内容の見直しを求め、2次ヒアリングを行う意向だ。