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準大手建設会社の西松建設は、アクティビスト(物言う株主)の圧力を受けて、伊藤忠商事と資本業務提携する道を選んだ。今、アクティビストのターゲットになる建設会社が増えている。その要因は様々あるものの、端的には企業としての事業戦略に魅力が無いということだ。このままでは日本の建設業界がのみ込まれてしまう。防御に回るのもいいが、M&A(合併・買収)などの積極策に打って出てはどうか。

東京都内で進む再開発事業。この工事にも、国内外のアクティビストが株を大量保有する建設会社が複数、携わっている(写真:日経不動産マーケット情報)
東京都内で進む再開発事業。この工事にも、国内外のアクティビストが株を大量保有する建設会社が複数、携わっている(写真:日経不動産マーケット情報)
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 西松建設は2021年12月、伊藤忠商事と資本業務提携した。伊藤忠の議決権保有比率は10.16%となり、筆頭株主になった。両社は以下の通り、公共施設・インフラを対象とするPPP(官民連携)や再生可能エネルギー事業などに共同で取り組む方針だ。

西松建設と伊藤忠商事が発表した業務提携の内容
1 建設アライアンス構築
 現場課題を解決する技術や工法を持つ建設業界の優良企業群と建設アライアンスを構築することにより、建設業界の省人化・効率化・DX(デジタルトランスフォーメーション)化を共同推進する

2 安心安全、脱炭素社会の実現
 脱炭素社会の実現や国土強靱(きょうじん)化といった社会課題を成長分野と捉え、公共施設・インフラPPPへの共同事業参画や再生可能エネルギー事業の共同取り組みなどにより、事業領域を拡大する

3 循環型不動産事業モデルでの協業
 不動産開発・収益不動産への投資・運用を通じた循環型不動産事業を両社で推進することで、西松建設の安定成長基盤を確立するとともに、伊藤忠商事の不動産開発事業のものづくり力向上による安心安全を強化する

4 顧客基盤拡充・競争力向上
 国内外のグループ会社・取引先などのネットワークや資機材調達機能、エンジニアリング機能など、両社の持つ顧客基盤や機能を融合することで、両社の事業収益力・競争力や安定性を強化する

 ここに至る背景には、アクティビストとして知られる村上世彰氏のグループの存在がある。同氏の関わる投資会社、シティインデックスイレブンス(東京・渋谷)などが西松建設の株を買い進め、株主還元を求めて経営に介入する恐れがあった。回避策として、西松建設と取引のあった伊藤忠がシティ側から株式を取得し、今回の資本提携となった。

 西松建設は21年12月15日付のリリースで、異業種のパートナー企業との協業を強調。建材から不動産まで幅広く手掛ける総合商社との提携が「これまでになかった全く新しいシナジーを創出し、双方の企業価値を最大化する」と訴えた。株式市場はこの提携を好意的に受け止め、発表後に西松建設の株価は上昇している。

 他にも、アクティビストのターゲットになっている建設会社がいくつもある。準大手や中堅の建設会社が中心だが、スーパーゼネコンと呼ばれる大手建設会社も例外ではない。

 アクティビストではないものの、以前は住宅メーカーが建設会社に触手を伸ばす事例も目立った。例えば、フジタは大和ハウス工業の傘下に入り、鴻池組は積水ハウスの子会社になった。熊谷組と住友林業は17年に、資本業務提携を結んでいる。

 どうしてここまで建設会社はターゲットになるのか。