ソースコードからLinuxカーネルをビルドするスキルを身につけ、Linuxの活用力アップを目指す本特集。前回は、Linuxカーネルをビルドするためのツールを準備しました。
今回はソースアーカイブを入手して展開し、中身を確認してみましょう。カーネルのソースアーカイブは前回紹介したThe Linux Kernel Archivesや、そのミラーサイトから入手できます。
ソースアーカイブの入手と展開
ソースアーカイブが提供されるカーネルの種類は、「mainline」「stable」「longterm」の主に三つがあります。
mainlineは、現在開発中(あるいはリリース直後)の最新カーネルです。あるメジャーバージョンのカーネル(例えば「5.8」)がリリースされると、若干の準備期間を経て、次のメジャーバージョン(例えば「5.9」)のmainlineカーネルの開発が始まります。
正式リリースまでの間に、開発途中のバージョンが何度かテスト用に公開されます。テスト用のカーネルには、バージョン番号の末尾に「-rc1」や「-rc2」などの文字列が付加されます注1。
正式リリースされたmainlineカーネルは、安定版を意味する「stable」に分類されます。正式リリース直後の最新版カーネルは「mainline」でもあり「stable」でもあります。stableカーネルは、リリース後しばらくの間はバグ修正などのメンテナンスが継続され、マイナーバージョン番号を付加したバージョン(例えば「5.8.1」や「5.8.2」など)が何度かリリースされます。
stable カーネルの中から、長期間メンテナンスをする「longterm」カーネルが年に一つ程度の間隔で選出されます。longtermカーネルのメンテナンス期間は6~7年間です。
カーネルのソースアーカイブは、「linux-カーネルのバージョン番号」で始まるファイル名を付けて配布されています。例えば、バージョン5.8.7のカーネルのソースアーカイブは「linux-5.8.7.tar.xz」のようなファイル名で配布されています。アーカイブ形式には、tar.gz形式とtar.xz形式の2種類が用意されており、一般に後者の方がアーカイブサイズは小さくなっています。
ソースアーカイブの見分け方が分かったところで実際に入手しましょう。