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 平将明衆院議員はIT政策担当内閣府副大臣(当時)として、政府の新型コロナ対策におけるIT活用を主導した1人だ。「顕在化したのはテクノロジーの問題ではなく構造の問題」。その時に感じた「壁」を打破すべく、2020年6月にデジタルガバメント庁(仮称)の設立などを骨子とする私案を菅義偉官房長官(当時、現首相)に渡した。平議員の目に映った課題とは何だったのか(2020年9月25日にインタビューを実施)。

(聞き手は外薗祐理子=日経クロステック/日経コンピュータ)

平将明衆院議員、前内閣府副大臣
平将明衆院議員、前内閣府副大臣
1967年生まれ。1989年早稲田大学法学部卒業。1996年家業である東京・大田青果市場の仲卸「山邦」社長就任。2005年衆院議員初当選。2019年内閣府副大臣就任、IT政策などを担当。2020年9月16日退任。
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IT政策担当の内閣府副大臣として、政府の新型コロナウイルス対策におけるIT活用に尽力しました。何が課題だと感じましたか。

 新型コロナ対策におけるIT活用で顕在化したのはテクノロジーの問題ではなく、構造の問題でした。まず菅(義偉)首相が問題視するように、省庁ごとや部局ごとの「縦割りの壁」があります。

 さらに国民が実際に行政サービスを受ける窓口である自治体と中央政府の間にも壁があります。個人データの広域連携や利活用を妨げる「個人情報保護法制2000個問題」などのような「横割りの壁」です。

 「国が情報を管理するのは怖い」という国民の漠然とした不安感もあります。接触確認アプリの「COCOA」は個人情報保護法上の個人情報を扱わないにもかかわらず、「監視国家」とか「個人情報が漏れるのが怖い」と言われました。こうした不安はいわば「国民の壁」だと思います。

厚労省は現場の対応に手いっぱい

IT企業の協力を得ながら新型コロナ対策に生かすITやデータの活用を検討し、迅速に開発することを目的とする、政府の新型コロナ対策テックチームの事務局長も務めました。2020年4月に発足したテックチームは厚生労働省と連携してCOCOAの開発などに取り組みました。

 当時、日本でもITを使った新型コロナ対策については(接触確認アプリに限らず)政府や国会議員に対して外部からいろいろな提案がありました。しかし厚労省は現場の対応に手いっぱいで、話を持って行ってもなかなか(具体化に)つながりませんでした。

 そこでIT政策担当内閣府副大臣である私を事務局長としてテックチームを立ち上げることになったのです。新型コロナ対策を担当する西村康稔経済財政・再生担当相はAI(人工知能)などに興味があって「それはいいことだ」という話になりました。

 テックチームの目玉は接触確認アプリで、できる限り早く導入したかった。(2020年3月に)シンガポールが感染経路を追跡するためのアプリの国内配布を始めて話題になり、各国でも同様の取り組みを進めていました。

 ところが厚労省は当初、積極的ではありませんでした。公衆衛生当局にやる気がないのでは進みません。

 テックチームは危機感を覚え、私は厚労省にかなり強く言いました。厚労省に橋本岳厚労副大臣(当時)がいたのでずいぶん助かりました。橋本さんは私の言うことを理解して厚労省に指示を出してくれたので、(アプリの開発に向けて)動き出すことができたのです。