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政府は2000年からIT調達予算の改革と電子政府政策を両輪で進めてきた。IT調達改革はたびたび頓挫し、「全行政手続きのオンライン化」という目標も未達のままだ。大切なのは失敗から学ぶこと。教訓に満ちた20年を振り返る。

 菅義偉首相肝煎りのデジタル庁創設に当たっては「IT調達予算の一元化」が重要な布石となる。対象となる政府IT予算は毎年およそ7000億円。各省庁が個別要求していたものを内閣官房に一本化することで同じようなシステムをつくる無駄を省きつつ、必要なデジタル投資を増やす狙いがある。

 一元化の根拠は国の行政手続きを原則電子化すると定めた「デジタルファースト法」と、同法に基づき2024年度中に9割を電子化するための工程表「デジタル・ガバメント実行計画」の2つだ。政府関係者によると、同法が2019年5月に成立した当時、一元化の必要性を主張したのは平井卓也IT担当相(現デジタル改革相)で、菅官房長官(当時)が平井大臣に具体案の作成を求めたという。

 内閣官房は2020年度からIT調達の一元化を始め、2021年度予算の概算要求では2020年度当初予算比23%増の829億円を求めた。マイナンバー制度の個人向けサイトである「マイナポータル」の整備などに向けた84億3300万円に加え、人事・給与情報システムといった府省共通の41システム分のIT調達費用を積み上げたという。

発注能力高める改革にかじを切る

 ここに至るまで政府はIT調達の改革を20年続けてきた。発端は1990年代後半に遡る。オープンシステムが存在感を増してきた当時、官公庁の巨大システム費用の高止まりが問題視された。大手ITベンダーは「1円入札」で新規構築を落札し、その後が高額な随意契約を結んでいたのだ。いびつな「囲い込み」が批判を集め、2002年から政府などが調達改革に乗り出した。

図 政府のIT調達改革の軌跡
「脱ベンダー」目指すも迷走が続く(写真:陶山 勉、画像出所:内閣官房)
図 政府のIT調達改革の軌跡
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日経コンピュータ2000年9月25日号の記事。ITベンダーの安値入札の実態を報じた
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分割発注の導入を決めた政府の指針
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2009年8月19日号の記事。特許庁が基幹システム刷新を中止した真相に迫った
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2012年7月19日号の記事。政府のシステム調達が相次いで失敗した根本原因を探った
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2012年に初代の政府CIOに就任した遠藤紘一氏
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