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低価格SSDはコストダウン

 前述のように主流になってきているPCIe SSDは、2~3年ほど前までは「PCIe SSDは高性能」と判断できたが、現在は事情が異なる。ハイエンドからエントリークラスまでさまざまなバリエーションが出てきており、コストダウンによってそれほど性能が高くない製品もあるのだ。

 分かりやすいコストダウンの1つが、「QLC NANDフラッシュメモリー」の採用である。現在主流の「TLC NANDフラッシュメモリー」が1つのメモリーセルに3ビットを記録するのに対して、QLC NANDフラッシュメモリーは1セルに4ビットを記録することで記憶容量を増やしている。その一方でQLC NANDフラッシュメモリーには、メモリーセルの耐久性が低いことに加えて、書き込み性能が遅いという弱点がある。

 書き込み性能に関しては、「SLCバッファ」と呼ばれる空き容量を利用したバッファで性能を補っている。しかし、バッファ容量を超える大きなデータを書き込んだり空き容量が少なくなったりすると、極端に性能が低下するので注意したい。

 「DRAMレス構造」もコストダウンの1つだ。多くのSSDは、NANDフラッシュメモリーよりも高速なDRAMを実装し、データの先読みや一時退避バッファに使うことで性能の最適化や耐久性の向上につなげている。

 低価格SSDの中には、このDRAMを省いている製品がある。DRAMを省くと、ランダムアクセスの性能が低かったり、耐久性の指標であるTBW(Total Byte Written)が小さかったりする傾向がある。またDRAMを搭載しない代わりにシステムのメモリーをキャッシュ代わりに使う「HMB(Host Memory Buffer)」という仕組みを採用してコストダウンと性能を両立している製品もある。こうしたコストダウンのための仕組みは、スペックや製品説明に記載されているとは限らない。

 NANDフラッシュメモリーの種類、搭載DRAMの有無(またはHMBの使用)、そしてTBWの数値をすべて公開している製品であれば安心感が高いと言えるだろう。

種類1セル当たりの
記録容量
必要な電圧操作1セル当たりの
書き換え回数(目安)
SLC(Single Level Cell)1ビット2段階10万回
MLC(Multi Level Cell)2ビット4段階1万回
TLC(Triple Level Cell)3ビット8段階3000回
QLC(Quad Level Cell)4ビット16段階1000回
NANDフラッシュメモリーの種類と書き換え回数(一般的な目安)。QLCは1セルに4ビットを記録できるため低コストで大容量を実現できるが、メモリーの耐久性が低い