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 ここまで、環境規制を軸にした欧州や日本のモビリティー戦略の違いを見てきた。それを踏まえて、クルマ造りのこれからの方向性を整理しておこう。

 図14に、筆者が考える将来のモビリティーの造り分け(すみ分け)を示す。2018年に整理したものだが、現在も変わらない。

図14 将来のモビリティーのすみ分け
図14 将来のモビリティーのすみ分け
移動距離や燃料対応、車両サイズ(コスト)、用途の条件で顧客が選ぶ車両は変わる。(出所:筆者)
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 モビリティーはエンジン車か、HEVか、EVか、といった択一的なものではなく、移動距離や燃料への対応、車両サイズ、乗用あるいは商用という使われ方に応じたすみ分けが進む。

 EVの「現実解」はまず短距離輸送用の小型低速EV(LSEV:Low Speed EV)であり、他は一部の高額な大型SUV(スポーツ多目的車)とショーファーカー(運転手が運転する高級車)となる。

 中国では既にEV登録車の50%をLSEVが占める。日本でもトヨタ自動車が超小型EVの導入に向けて動いている(図15)。それに合わせ、国土交通省は20年9月1日に道路運送車両法施行規則を改正した。軽自動車より小さく公道を走行できる超小型モビリティー(補助金20万円)の普及を後押しする。LSEVはシェアリングにも適しており、先進国でも新興国でも展開が加速すると考える。

図15 トヨタの超小型EVのコンセプトモデル
図15 トヨタの超小型EVのコンセプトモデル
2020年秋に市場投入予定。(出所:日経クロステック)
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 FCVは長距離の大型バスやトラックを主体とし、大型SUVやショーファーカーの一部も対象となる。日欧米中では既に大型FCトラックの開発が加速しており、トヨタからのシステム提供も進んでいる。

 乗用車が大半を占めるミドルレンジは、エンジン車とHEV、PHEVが主流となり、ごく一部の高級EVとFCVが中国NEV規制や米国カリフォルニア州ZEV規制の対応車となる。併せて、燃料は従来の石油系燃料ではなく、カーボンニュートラル燃料であるバイオ燃料や、PTL燃料、カーボンフリー燃料である水素への転換対応が必須となる。

 従来車の延長上のEVは、航続距離と価格といた顧客ニーズやLCAにおけるCO2排出量などを考慮すると、当面普及は難しい。補助金頼みだが、中国や米国では補助金を減額する方向だ。WtWのCO2を含めてEVがHEVと対等に戦うには、電池のエネルギー密度(kWh/kg)を現在の10倍以上に改善する必要がある。だが、それは次世代の全固体電池をもってしても厳しく、今後10~20年を要するだろう。