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 4脚歩行ロボット「Spot」は、許可なく公道を走行できるのか――。2020年11月30日、日経クロステック編集部が米Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)のSpotを入手してからほぼ1カ月が経過した。20年10月には日本郵便が配送ロボットの公道走行実験を公開するなど、ロボットの存在が当たり前になる日常がいよいよ近づいている。階段などの段差を乗り越えられるため、配送ロボットとしても活用が期待される4脚歩行ロボットだが、車輪を持たないロボットは公道でどのような扱いを受けるのか。東京都で公道利用の許認可を担当する警視庁に聞いてみた。

階段を上り下りするSpot。愛称はクロ(サムネイル:加藤 康、撮影:日経クロステック)

現時点では歩かせることはできない

 結論から言えば、「東京都の公道では4脚歩行ロボットが歩行した例は確認していないため、公道での利用許可は難しい」(警視庁)。続けて「どのような条件を満たせば、公道で動かして良いかについて結論を出すには時間がかかる」と語った。

 Spotは外形寸法が1100×500×840mmで、質量が32.5㎏の「犬型」ロボットだ。階段を自在に上り下りするなど、高い運動性能を持つ。日経クロステック編集部はこれまで、Spot(愛称:クロ)をオフィス室内や私有地などで歩かせてきたが、そのなかで浮上したのが「クロを公道で歩かせていいのか」という疑問である。

躍動するSpot
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躍動するSpot
30cmの段差の上り下りや、傾斜30度の地形を移動できる。倒れた状態から自力で起き上がるなど、高い運動性能を持つ。2020年7月には、20台のSpotがプロ野球チームの応援ダンスを披露したことで話題を呼んだ(撮影:加藤 康)

 ロボットの公道走行は、日本郵便が20年10月に開始した自動配送ロボットの実証実験で実績がある()。ロボット開発スタートアップであるZMPの4輪ロボット「デリロ」が、人の行き交う東京都千代田区の歩道を走行し、荷物を目的地に運んだ。

ナンバープレートを備えた配送ロボットが公道を走行
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ナンバープレートを備えた配送ロボットが公道を走行
日本郵便は2020年10月、東京都千代田区で配送ロボットの公道走行実験を実施した(出所:日本郵便)

 配送業の人手不足を背景に、「ラストワンマイル」での配送ロボットの需要は増加傾向にある。一方で、課題の1つが段差や不整地などでの走行だ。人は簡単に段差を乗り越えられるが車輪ベースのロボットはこうした段差を乗り越えられない。傾斜地や砂利道など足場の悪い場所も苦手である。

 4脚歩行ロボットのSpotは、階段の上り下りや不整地の歩行も得意だ。ペイロード(最大積載量)は14kgで、集合住宅でも少量の荷物であれば消費者宅の扉の前まで運搬できる。集合住宅の前までは4輪の配送ロボット、消費者宅にはSpotという連携もあり得る。Spotが公道を歩けるのであれば、可能性の範囲は広がる。