現行機「PlayStation 4(PS4)」が2013年11月に登場してから7年。20年11月12日にいよいよ「PlayStation 5(PS5)」が発売される。米Sony Interactive Entertainment(SIE、ソニー・インタラクティブエンタテインメント)が次世代機の構想を練り始めたのは、およそ5年前。そこからPS5としてのコンセプトを固めて、具体的なハードウエアの設計・開発に取り組み、コロナ禍を乗り越え、量産に至った。そのコンセプトは、ゲームに対する「没入感」をPS4以上に高めること。没入感とは、ゲームの世界にユーザーが入り込んで夢中になる度合いを指す。
PS4の発売以降、ゲーム業界を取り巻く環境は大きく変わった。動画配信や音楽配信、ゲームといったデジタルエンターテインメントが多様化した上、スマートフォンと通信インフラの普及によって、いつでもどこでもそれらを視聴できるようになった。その分、それぞれの娯楽でユーザーの時間の奪い合いが激しくなった。言い換えれば、プレーヤーがゲームに費やす時間は今まで以上に貴重になった。
そこでPS5では、そんなユーザーの貴重な時間を無駄にせずに、起動してからすぐにゲームの世界に深く没入できるようにすることを目指した。加えて、ロード時間など、ゲームプレー以外の時間を大幅に削減。ゲームプレーそのものに使える時間をなるべく長く確保できるようにした。さらに、いったん没入したゲームの世界から、ユーザーがすぐに抜け出さないようにする仕組みも取り入れている。
PS5では、こうしたユーザー体験(UX)を、ユーザーインターフェース(UI)といったソフトウエア技術とハードウエア技術でいかにして実現したのか。まずはPS5の商品企画・UXデザインを統括する西野秀明氏(SIE プラットフォーム・プランニング&マネジメント担当シニア・バイス・プレジデント)へのインタビューを基に、PS5で目指したUXと、その実現のために導入したUIについて2回に分けて解説する。