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 米国時間2020年11月10日、Apple Silicon(Appleシリコン)を搭載したMacが発表された。イベント動画を見て気になった点は次の4つ。(1)「○倍高速」の連呼、(2)起動音が戻ってきたこと、(3)メモリーが最大で16GB、(4)Rosetta 2の互換性の4点だ。

「○倍高速」というキーワード

今回のイベント動画では、「○倍高速」というキーワードが何度も登場した
今回のイベント動画では、「○倍高速」というキーワードが何度も登場した
(出所:アップル、以下同じ)
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 まず、「○倍高速」の連呼について。約50分のイベント動画の中で「○ times faster」が何回語られただろうか。当初「正」の字を書いて数えていたのだが、途中であまりに非生産的な振る舞いであることに気づいてやめた。確かに処理が速いことはコンピューターにとっての「正義」を構成する重要なピースだ。

 その「正義」を貫くために、今回のような大変革が必要なのは理解できる。筆者のように1980年代からMacを使い続けているユーザーは、過去に米Motorola(モトローラ)製CPU「MC68000」系からPowerPCへの移行、そして、PowerPCに見切りをつけた格好のインテル製CPUへの移行を2度経験している。

 大変革はMacのエコシステムに生息する人々に一定のリスクを強いることになる。生息する人々とは、一般ユーザー、ソフトウエア開発者、周辺機器製造者、サプライチェーンに従事する者などだ。

 思い返せば、過去2回の移行において、それなりの混乱や追加出費はあったと記憶しているが、その後にもたらされる「正義」が負の側面をすべて上書きしてしまった。早い話が「結果オーライ」というやつだ。

 ティム・クックCEOは、「今日は、Macにとって大きな日であり、アップルにとっても大きな日です。このような大きな前進は、大胆な変更を行うことでしか達成できません」とイベント動画を締めくくった。リスクを伴った「大胆な変更」に対してエコシステムの住人の理解を得るために、アップルとしては「○倍高速」という「正義」を声高に言い立てる必要があったのだろう。