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 新型コロナウイルスに翻弄された2020年の建築市場を、国土交通省の統計データを基に分析した。その結果、木造戸建て住宅は、工事単価が高止まりの傾向にあったが、20年10月ごろから下落の兆しが見えてきた。鉄筋コンクリート(RC)造マンションや鉄骨(S)造事務所の年間の分析データと共に解説する。

 国土交通省から建築着工統計調査の2020年の集計データが21年1月29日に公表された。新設住宅全体の着工戸数は約81.5万戸で前年比9.9%減少、床面積は11.2%減少となり、共に4年連続の減少であった。19年に増加した持ち家やマンションも再び減少に転じており、コロナ禍の影響がうかがえる。一方、民間非居住建築物の床面積の前年比は、倉庫は増加した一方で、事務所や店舗、工場は減少。全体では床面積10.8%の減少となり、住宅と同様に年間通じての市況は厳しい状態となっている。

 本コラムでは前回、前々回とコロナ禍前後の建築着工統計の月次動向に着目してきたが、年間の総括として東京のマンション(RC造住宅)とS造事務所の年次動向を確認してみた。月次動向では8月以降の着工床面積や工事費予定額の改善が見られたが、その傾向は年間集計値にも反映されている。

 マンションは棟数が減少したものの床面積や工事費予定額は増加、さらに工事費予定額を床面積で割った単価も上昇しており、2020年の緊急事態宣言の間に着手を控えた物件が一気に着工された様子がうかがえる。

 一方、事務所はマンションとは逆の傾向にあり、棟数は大きく増加しているが、床面積や工事費予定額は減少。単価も下がっている。月次動向では2020年の年度末(3月)と緊急事態宣言後の8~9月に着工量が急増したが、マクロ的に見ると大規模物件の発注が少なかった事務所の市況は厳しく見える。

建築着工統計の年次集計値を用いた指数グラフ(2011年=100) RC造住宅・東京(資料:エムズラボ)
建築着工統計の年次集計値を用いた指数グラフ(2011年=100) RC造住宅・東京(資料:エムズラボ)
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建築着工統計の年次集計値を用いた指数グラフ(2011年=100) S造事務所・東京(資料:エムズラボ)
建築着工統計の年次集計値を用いた指数グラフ(2011年=100) S造事務所・東京(資料:エムズラボ)
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 ここではさらに「建築単価ウオッチ」で扱っている戸建て住宅の年次動向も確認してみる。前述のマンションや事務所と比較すると年次の変動は少ないが、棟数、床面積、工事費予定額とも大きく下落していることが分かる。しかし、単価は前年と同じ値を示しており、価格相場としては高止まりしている。

建築着工統計の年次集計値を用いた指数グラフ(2011年=100) 木造住宅・東京(資料:エムズラボ)
建築着工統計の年次集計値を用いた指数グラフ(2011年=100) 木造住宅・東京(資料:エムズラボ)
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 さらに、木造住宅の月次動向(3カ月移動平均値)のグラフを見ていただきたい。マンションや事務所と同様に8月ごろには着工量が改善されているが、その後減少しており、前年との比較でも全体的に低調であることが分かる。また、単価はほぼ高止まりであったが10月以降は下落の兆しも見られる。今後、工事単価は上向くのか、下げ続けるのか、着工量の動向と併せて注目したい。

建築着工統計の月次集計値を用いた指数グラフ(3カ月移動平均)(2019年1月=100)木造住宅・東京(資料:エムズラボ)
建築着工統計の月次集計値を用いた指数グラフ(3カ月移動平均)(2019年1月=100)木造住宅・東京(資料:エムズラボ)
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 建築市場は木造住宅、非木造住宅、非木造非住宅の3分野に大きく区分して考えることができる。いずれの市場もコロナ禍により着工量は減少したが「建築単価ウオッチ」のターゲットとしているプライスの水準は今のところは大きく変動はしていない。しかし、これまで変化の少なかった木造住宅の単価に見られるように、今後の価格変動に注目が集まるであろう。いまだ不透明な状況であるが需要と原価との関係を掘り下げて、さらにそのメカニズムを解明していきたい。