全1291文字
PR

 コンテナには開発生産性の向上、拡張性と可用性の向上、コストの低減といったメリットがある。これらを享受するにはシステムの開発と運用のやり方を変える必要がある。基本といえるCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)以外に、先行ユーザーの事例から、汎用的な活用法である「迅速スケール」「最適サイジング」、応用的な活用法といえる「クラウド乗り換え」「コンテナ納品」という4つの活用法が浮かび上がった。今回はクラウド乗り換えを取り上げる。

 アサヒグループホールディングス(HD)は、ベンダー間の乗り換えが容易というコンテナのポータビリティー(可搬性)を生かし、コンテナのランニングコストを半減させた。同社はコンテナを活用してPOS(販売時点情報管理)データの分析基盤「カテゴリーマネジメントシステム」を2018年に構築。アサヒビールの営業部門などが利用し、POSデータに加え、地理情報や気象、小売り・消費者の調査データなど十数種類のオープンデータを組み合わせて分析する。

図 アサヒグループHDのデータ分析システムの構成(コンテナをGCPに移行した2019年3月時点)
図 アサヒグループHDのデータ分析システムの構成(コンテナをGCPに移行した2019年3月時点)
クラウドの乗り換えが容易に(出所:アサヒグループHDの資料を基に日経コンピュータ作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 このシステムでは、データの蓄積や加工・集計、ファイル転送、テーブル作成といった全てのジョブ実行と管理機能をマイクロサービスとして開発し、コンテナ環境で動作させている。リリース当初は、ほとんどの部分で米マイクロソフトのクラウド「Microsoft Azure」を使用していた。米グーグルの「Google Cloud Platform(GCP)」も使っていたが、データウエアハウスサービス「BigQuery」ぐらいだった。

 2019年3月、ジョブ実行・管理機能のマイクロサービスのコンテナをGCPに乗せ替えた。

 乗り換えた最大の理由はコストだった。当時のAzureでは、コンテナのリソースサイズを同一にしなければならないという制約があった(現状のAzureのコンテナサービスにはこの制約は無い)。そのため、全てのコンテナのリソースサイズを最も重い処理のマイクロサービスに合わせざるを得なかった。これがコンテナのランニングコストがかさむ原因になっていた。