5G(第5世代移動通信システム)の商用化で後じんを拝した日本勢が今、ゲームチェンジの最後のチャンスと見据えるのが「ポスト5G」だ。6Gの開発で先行するNTTはNECと技術連合を形成。NTTドコモも完全子会社化し、総力を挙げて決戦に臨む。新規参入の楽天もポスト5Gを主戦場と捉え、技術開発に力を注ぐ。本当にゲームチェンジの可能性はあるのか。各社の戦略と技術面の競争力を検証する。

ポスト5Gの胎動
目次
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「リスク取り世界へ、ゲームチェンジ仕掛ける」NTT渋谷副社長
NECとの資本業務提携や、半導体からネットワークに至るまで光技術を活用する「IOWN(アイオン)構想」を掲げ、再び世界へ挑戦するNTT。世界大手と日本勢で大きな差が開くなか、どう伍していくのか。グループ全体の技術戦略を担当するNTTの渋谷直樹副社長に聞いた。
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「通信事業はハードウエアビジネスにあらず」富士通水野常務
かつては日本電信電話公社に電話交換機を納める「電電ファミリー」の一角を占め、NECなどと並び日本の通信インフラを支えてきた富士通。5Gやポスト5G時代のグローバル競争をどう戦っていくのか。通信事業を管轄する水野晋吾執行役員常務に聞いた。
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「通信の地盤沈下は国家の危機」NEC森田副社長
過去、再三にわたって通信インフラの海外市場開拓に挑戦してきたNEC。広がった大手との差をどう認識し、今後の追撃につなげるのか。2021年4月から社長としてNECを率いる森田隆之副社長に聞いた。
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NTT・NECの頼みの綱「Open RAN」の実力、寡占崩すアリの一穴
ポスト5Gが最後のチャンスと世界に再び打って出るNTTとNEC。その武器となるのが「Open RAN」だ。通信機器ベンダー大手の囲い込みに反旗を翻し、さまざまな基地局を自由に組み合わせて使えるようにする。世界で機運が高まるオープン化の後押しを受け、圧倒的なシェアの差を覆せるか。
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NEC・富士通「幻の事業統合」に現実味、NTTが仕掛ける日の丸連合
次世代通信インフラ技術の研究開発やグローバル展開に向け、通信事業者とベンダーの垣根を越えた「新メード・イン・ジャパン」体制で世界に乗り出すNTTとNEC。これに富士通が合流すれば大きな援軍になる。
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エリクソンやエヌビディアも秋波を送るIOWN構想、NTTの切り札
半導体からネットワークに至るまで情報処理基盤に光技術を活用するNTTの「IOWN」構想。2030年前後の実用化を計画し、ゲームチェンジを目指すポスト5G、6G時代に向けた切り札だ。そんな同社の構想に世界の巨大IT企業から参加の打診が相次いでいる。
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通信敗戦の20年、NTT・NEC連合「ポスト5G」へ最後の賭け
今や国家の競争力をも左右する「5G」。欧州や中国の通信機器ベンダー、米国の巨大ITが覇権を争うなか、かつて世界をリードしていた日本勢の存在感はほぼ無いに等しい。そんな現状に危機感を抱き、日本の通信産業の再興に向けて立ち上がったのが、NTTとNECだ。日の丸連合は過去の敗戦を教訓に羽ばたけるか。