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日経産業新聞と日経クロステックで初めての試みとなる共同連載企画です。通信産業の行方を展望しつつ、最先端のテクノロジーを深掘りし、胎動を始めたポスト5Gの最前線に迫ります。

 かつては日本電信電話公社に電話交換機を納める「電電ファミリー」の一角を占め、NECなどと並び日本の通信インフラを支えてきた富士通。だが世界を見渡せば、北欧のエリクソンやノキア、中国の華為技術(ファーウェイ)という3大ベンダーの背中は遠くかなただ。5G(第5世代移動通信システム)やポスト5G時代のグローバル競争をどう戦っていくのか。そして資本業務提携に踏み込んだNTTとNECのタッグに対しては、どう向き合っていくのか。通信事業を管轄する水野晋吾執行役員常務に聞いた。(聞き手は高槻 芳=日経クロステック/日経コンピュータ、水口 二季=日本経済新聞社企業報道部)

富士通の水野晋吾執行役員常務。1989年に入社し、3G方式の通信システムなど開発業務に携わった。2020年4月から現職
富士通の水野晋吾執行役員常務。1989年に入社し、3G方式の通信システムなど開発業務に携わった。2020年4月から現職
(写真:日本経済新聞社)
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富士通は5G市場をどう攻めていこうとしているのでしょうか。

 5G、特にローカル5Gは決してネットワークが主役であるべきではないと考えている。5Gやローカル5Gで何ができるようになるか、総合的に考える必要がある。そこで富士通は(複数の部署を横断する)「5Gバーティカルサービス室」を作った。社会生活に5Gが浸透したとき、必要なのはビジネス的なインテグレーション(統合)だ。富士通のさまざまな強みを組み合わせて価値提供に変えていく。

5Gの通信インフラ市場では基地局を自由に組み合わせられるようにする「オープン化」の波が到来していますが、どう見ていますか。

 米国や欧州でまず進むだろうが、さまざまなプレーヤーがオープン化に取り組んでおり、市場の広がりについては読めない。少なくとも、富士通はNTTドコモとの取り組みによって一歩先んじている。方向性は一致しており、ネットワークのインテグレーションにも取り組む。オープン仕様に準拠した製品市場のうち20~30%は取っていきたい。

NECはNTTと資本業務提携に踏み切りました。富士通とNTTの関係はどうなりますか。

 資本関係の有無とは別に、これまでもNTTとはさまざまな取り組みをしてきた。これは今後も変わらない。そのなかで複数の選択肢があり、どれも否定はしない。

 ただ、時間軸を考える必要がある。ポスト5G(が本格的に普及していくのは)はいつごろなのか。さらにその先、どう戦うのかも考えなければいけない。さまざまな軸があるなかで、それぞれ考えることが違ってくる。

過去に海外の基地局ベンダーと提携しました。成功したとは言えない状況に見えます。

 3G、4Gと時代によってアライアンスの組み方は違ったし、(関係性の)強弱も異なる。基本的な考え方は互いに尊重できるものがなければいけない。その延長線上にウインウインの関係がある。ビジネス的な結果はおいても、得たスキルを考えると社員の肥やしになっている。