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 米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)のアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)が2020年12月2日(米国時間)、オンラインで開催中の年次イベント「AWS re:Invent 2020」の基調講演で新サービスや新機能を発表した。公式サイトで同日発表した新サービスや新機能を合わせると40を超える。主立った新サービス・新機能について「仮想マシンとストレージ」「コンテナとサーバーレス」「データベース」「AI(人工知能)」「開発環境」「コールセンターとBI(Business Intelligence)」という6つのカテゴリーに分けて紹介する。

米アマゾン・ウェブ・サービスのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)
米アマゾン・ウェブ・サービスのアンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)

仮想マシンとストレージ

 仮想マシンの新たなラインアップを数多く発表した。「Amazon EC2 D3/D3en Instances」は米インテル(Intel)の第2世代Xeonプロセッサーや高密度なHDDストレージを搭載する仮想マシンだ。高速なファイルアクセスが要求される分散された環境でのファイルシステムやビッグデータの分析、大容量のデータレイクなどの用途を想定している。D3は既存の「Amazon EC2 D2 Instances」に比べてコンピューティング能力が30%、ネットワークパフォーマンスが2.5倍向上したという。一方のD3enは非常に大きなデータセットやシーケンシャルI/Oに最適化している。さらにD2に比べてテラバイト当たりのコストが80%低くなったという。

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 「Amazon EC2 R5b Instances」は、ブロックストレージのAmazon EBSとの接続が最大60Gbps、260K IOPSというストレージ性能重視の仮想マシンだ。大規模なリレーショナルデータベース(RDB)などへの使用を想定している。

 「Amazon EC2 G4ad Instances」は、ゲームストリーミングやアニメ、ビデオレンダリングといった高度なグラフィック処理に向く仮想マシンである。米AMDの最新プロセッサーを搭載しており、小規模な機械学習トレーニングやGPUベースの機械学習による推論などへの使用も想定している。近日中に提供を開始する予定だ。

 「Amazon EC2 C6gn Instances」は、ARMベースのAWS独自プロセッサー「Graviton2」を搭載する。既存のC6gに比べて4倍となる最大100Gbpsのネットワーク帯域、4倍のパケット処理能力、2倍のEBS帯域幅を備える。ネットワーク遅延の低減が必要となるHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)やビデオ処理などの用途を想定している。近日中の提供開始を予定している。

 「Amazon EC2 M5zn Instances」は、最大4.5GHzの第2世代Xeonプロセッサーを搭載する仮想マシンである。ゲームや金融アプリケーション、自動車、航空宇宙などでのシミュレーションやHPCの用途を想定している。

 「Habana Gaudi-based Amazon EC2」は深層学習モデルのトレーニング用に設計した仮想マシンだ。AI用プロセッサー「Habana Gaudi」を搭載している。自然言語処理やオブジェクトの検出・分類、レコメンド、パーソナライズといったアプリケーションなどにおける深層学習のトレーニング用途を想定する。GPUベースの既存のEC2に比べて、コストパフォーマンスを最大で40%向上させたという。コンテナ管理のマネージドサービス「Amazon EKS/ECS」、AI開発環境「Amazon SageMaker」などで利用する。2021年の提供開始を予定している。

 「AWS Trainium」は機械学習のトレーニング向けにカスタム設計したAWS独自の新しいプロセッサーである。画像分類やセマンティック検索、翻訳、音声認識、自然言語処理など、アプリケーションの機械学習のトレーニング向けに最適化しているという。標準のAWS GPUインスタンスに比べてスループットが30%向上し、1推論当たりのコストは45%下がるという。2021年の提供開始を予定している。

 ブロックストレージ「Amazon EBS」のラインアップも増やした。「io2 Block Express」は既存のio1より耐久性が100倍、容量当たりIOPSが10倍高いという。最大性能は256K IOPSと4000MBps、最大容量は64TiBだ。高いストレージ性能が求められるミッションクリティカルシステムなどの用途を想定している。発表時点ではプレビュー版を公開している。