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 米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)で機械学習を担当するVice Presidentのスワミ・シヴァスブラマニアン氏は2020年12月8日(米国時間)、オンラインで開催中の年次イベント「AWS re:Invent 2020」の基調講演でAI関連の新機能や新サービスを発表した。中核のAI開発支援サービスである「Amazon SageMaker」について新機能や新しい関連サービスを発表したのに加え、機械学習による不正検知や需要予測などの業務アプリケーションのサービスも投入した。

米Amazon Web Servicesで機械学習を担当するVice Presidentのスワミ・シヴァスブラマニアン氏
米Amazon Web Servicesで機械学習を担当するVice Presidentのスワミ・シヴァスブラマニアン氏
(出所:米Amazon Web Services、以下同)

 Amazon SageMakerについて発表した新機能や新しい関連サービスは5つある。

 「Distributed Training with Amazon SageMaker」は、大規模な深層学習モデルやデータセットによるトレーニングを高速化かつ容易にする新機能だ。AWSの複数のGPUインスタンス(GPUが使用できる仮想マシン)への分散処理を自動的に行う。データセットを分割して並列処理する「データ分散」に加えて、モデルを分割する「モデル分散」にも対応する。

 「Deep Profiling for SageMaker Debugger」は、精度向上などトレーニングでの問題解決を助ける「SageMaker Debugger」の新機能だ。ITリソースの使用量に起因する問題の特定や修正を支援する。CPUやGPU、メモリー、GPUメモリー、ネットワークI/O、ストレージI/Oといったリソースおよびモデルのメトリクス(評価尺度)を自動的に監視し、トレーニングジョブにおけるリソース使用量を可視化する。例えば「トレーニング時にGPU使用率が非常に低くなるという問題を素早く察知して対策を講じる」といった使い方を想定している。

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 「Amazon SageMaker Clarify」は、機械学習の一連のワークフローを通じて、データの偏りである「サンプリングバイアス」を検知するサービスだ。データの準備段階でのバイアスだけでなく、トレーニング後に世の中が変化してモデルが合わなくなるといった潜在的なバイアスも検知することが可能という。またモデルの予測を説明したりモデルの問題を特定したりするために、どのフィーチャー(特徴量)が影響を与えているのかをグラフで可視化する機能なども備える。

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 「Amazon SageMaker Edge Manager」は、スマートカメラやロボット、パソコン、モバイル機器などのエッジデバイスに配置した機械学習モデルの運用を支援するサービスだ。各デバイスの処理性能に応じてモデルを最適化するとともに、モデルの保護やモニタリング、メンテナンスといった管理機能を提供する。例えばモニタリングの機能では、エッジデバイスからモデルの入出力データをサンプリングしてクラウドに送信。これらのデータを基に、モデル精度の監視サービス「Amazon SageMaker Model Monitor」を使って「モデルが現状に合っているか」「精度は正しいか」といった検証をすることで、継続的なモデルの改善につなげられる。

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 「Amazon SageMaker JumpStart」は、不正検知や予防保全、需要予測といった15以上のユースケース向けに、機械学習のアプリケーションを提供するサービスだ。利用者は数回クリックするだけで、機械学習のアプリケーションをデプロイできるという。各アプリケーションをカスタマイズして使うことも可能だ。システム構成自動化ツール「AWS CloudFormation」用のテンプレートファイルやリファレンスアーキテクチャーが含まれており、機械学習を学ぶ手助けにもなるという。PyTorch HubやTensorFlow Hubで公開されている150以上の学習済みモデルを1クリックでデプロイしたり、使い方に応じて微調整をしたりする機能なども備える。