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 AI(人工知能)分野の有力な国際学会である「NeurIPS」が2020年12月6日から1週間にわたりオンラインで開催された。NeurIPSはAIの主要な手法である機械学習や深層学習(ディープラーニング)の世界トップの学会である。そこでの論文の評価や存在感は、企業や研究機関のAI開発力を示すと言っても過言ではない。

 応募した論文から4%のみが採択される口頭発表に、2020年は少なくとも17の日本勢が選出された。19年は0件だったので、急速なレベルアップが見られる。今年は完全オンラインということで口頭発表が約3割増えたのも一因だが、世界トップの一角に食い込み始めたと言える。

 今回の日本勢躍進を象徴する1社がネット広告大手のサイバーエージェントである。2人の共同研究者ともNeurIPSでの初の採択で口頭発表となった。自社で活用するためにAIの新手法を研究しており、今回の論文もビジネスで活用するためのものだ。こうした事業会社の投稿や採択が増えている。

NeurIPSにおいてオンライン発表する、サイバーエージェントと米コーネル大学のチーム。「Off-Policy Evaluation and Learning for External Validity under a Covariate Shift」をコーネル大の上原雅俊氏が発表した
NeurIPSにおいてオンライン発表する、サイバーエージェントと米コーネル大学のチーム。「Off-Policy Evaluation and Learning for External Validity under a Covariate Shift」をコーネル大の上原雅俊氏が発表した
(出所:NeurIPS 2020)
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 “AI後進国”とも呼ばれた日本が躍進したのはなぜか。日本勢で評価の高かった特徴的な研究チームとその論文から検証する。